文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」
研究成果がMolecular Ecology誌に掲載されました。
今回の成果は、キイロショウジョウバエ自然集団において同じ一つの遺伝子ebonyが原因で起こる体色変異について、その原因となる突然変異が、アフリカのハエと日本のハエで異なるものであるということを明らかにしたことです。また、日本(西表島)の集団で体色の薄いハエのebony遺伝子発現制御領域が特異的なDNA塩基配列の並び(ハプロタイプ)を持ってIn(3R)Payneという染色体逆位にのっていることがわかりました。この逆位は、両半球で暖かい地域に多く見られることから、高温下で適応的な白っぽい体色がこの逆位に乗って広まった可能性も示唆されました。
Divergent enhancer
haplotype of
ebony on inversion In(3R)Payne associated with pigmentation
variation in a tropical population of Drosophila melanogaster.
Takahashi, A. and Takano-Shimizu, T.
Molecular Ecology 2011;
Article first published online: 13 SEP 2011
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21914015
これは、自然選択の影響を受けやすい体色のような生態学的形質の進化において、複数の塩基サイトが関与する発現制御領域の複雑な進化の様子を示しており、これからの高橋班の研究課題の基盤となる成果です。
研究成果が9月13日付けのDevelopmental Cellに掲載されました。
今回の我々の成果は、ゲノムインプリンティングの制御ならびにDNA脱メチル化の過程にHMGドメインを含んだSSRP1の
機能が必要であることを示したものです。DNA脱メチル化の過程は、華やかなエピジェネティクスの分野でも謎が多く、脱メチル化酵素以外は殆ど明らかにさ
れていませんでした。我々の研究を発端として、今後クロマチン機能変換とDNA脱メチル化の関係が急速に紐解かれていくと期待しています。
HMG domain containing SSRP1 is required for DNA demethylation and genomic imprinting in Arabidopsis
Yoko Ikeda, Yuki Kinoshita, Daichi Susaki, Yuriko Ikeda, Megumi Iwano, Seiji Takayama, Tetsuya Higashiyama, Tetsuji Kakutani, Tetsu Kinoshita Developmental Cell, 21, 589-596 (2011)鋭意レポート執筆中です。しばらくお待ちください。
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