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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2013年2月の記事を表示しています

バイオトロンブリーディング法がTVで紹介されました

イネの屋内栽培系であるバイオトロンブリーディング法が日本テレビ「世界一受けたい授業」にて2月23日の放送時にオープニングで紹介されました。同番組では、これまでに時間がかかっていたものを短縮する最先端技術を紹介しており、その一貫としてイネの育成方法が取り上げられました。イネの遺伝学や育種は、これまでは時間がかかるものでしたが、バイオトロンブリーディング法により、大幅に短縮が可能となりました。また、実験室内の多くの研究目的にも有効です。詳細は、以下のPlant & Cell Physiology 誌にオープンアクセスで発表しています。


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わたしたちの手足は、古代魚の胸鰭と腹鰭(対鰭)から進化したものです。対鰭の獲得は脊椎動物の行動を多様にし、さらに四肢へと進化させることで、脊椎動物の陸上での歩行を可能にしました。本総説では、ナメクジウオのような形をしていたわたしたちの祖先が対鰭を獲得し、さらに対鰭を四肢へと進化させるまでにおこった発生プログラムの変遷について紹介しています。


田中幹子
四肢の起源ー対鰭の獲得と四肢への進化

生物の科学 遺伝 特集「形態進化のロジックを辿るーエボデボ研究最前線[動物篇]」
2013年3月号、Vol.67 No.2 pp.170-177

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研究成果がGenes & Genetic Systemsに掲載されました

アブラナ科植物の自家不和合性研究は、Brassica rapa, Brassica oleraceaなど強固な自家不和合性を有する植物種を使って進められてきました。しかし、これらの自家不和合性種は、植物体が大きい、世代時間が長い、形質転換体の取得が困難といった研究上の問題点を抱えていました。一方、本領域の鈴木班と班友の清水健太郎博士との共同研究や、米国コーネル大学の研究により、自家和合性のモデル植物Arabidopsis thalianaが自家不和合性を制御するS遺伝子座に変異を持つこと、この変異を修復すると自家不和合性を再獲得することが明らかにされてきました。しかし、恐らく他の遺伝子変異等の影響により、B. rapaの様な強固な自家不和合性を再獲得するA. thalianaはC24など比較的少数の系統に限られており、Col-0などを中心に整備されてきた遺伝子資源の多くが自家不和合性研究に利用できないといった問題が指摘されてきました。今回我々は、A. thaliana C24を用いてTILLING (Targeting Induced Local Lesions IN Genomes) に利用可能なリソースを作出すると共に、このリソースが実際に逆遺伝学的解析に利用できることを実施例で示しました。本リソースの整備により、本領域研究で扱うアブラナ科植物の自家不和合性機構や優劣性機構の解明が加速するものと期待しています。
A TILLING resource for functional genomics in Arabidopsis thaliana accession C24
Lai, K.S., Kaothien-Nakayama, P., Iwano, M., Takayama, S.
Genes Genet. Syst. (2012) 87, 291-297.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/23412631
高山班201302.jpg

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高山誠司領域代表が日本農学賞・読売農学賞を受賞されました

ゲノム・遺伝子相関領域代表の高山誠司奈良先端大教授が第84回農学賞ならびに第50回読売農学賞を授与されました。日本農学賞は、大正14年から続く歴史と伝統があり、農学分野では最高の栄誉賞として位置づけられています。同賞は、農学分野の技術や学問分野に顕著な貢献をした研究者に授与されます。今回の受賞は、高山先生が長年続けられてきた、アブラナ科植物とナス・バラ科植物を材料にした、植物の自己と非自己の認識機構の研究成果が高く評価されたものです。本研究はいわゆる「植物の自家不和合性」として知られており、その分子機構の解明は、多くの生物種がいかにして自他を認識しているかという基本的仕組みの理解に大きく貢献しています。授与式ならびに受賞講演は、第84回日本農学大会にて4月5日東京大学山上会館にて行われる予定です。(木下@奈良先端大)


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 核型進化にともなうゲノム・染色体構造の変化は、異種間雑種の性腺の減数分裂における染色体対合の異常を引き起こし、不妊の原因となります。この染色体不適合性は、異種間の生殖後隔離の主たる遺伝的要因の一つです。脊椎動物の核型進化の中で最もドラスティックな変化のひとつとして、竜弓類(爬虫類・鳥類)がもつマイクロ染色体があります。ニワトリのゲノム解読によって、鳥類がもつマイクロ染色体は、遺伝子密度、GC含量、組換え頻度などがマクロ染色体よりも有意に高く、マクロ-マイクロ染色体間には、染色体サイズ依存的なゲノム構造の区画化が存在することがわかっています。私たちは、このゲノム構造の区画化の起源を探るため、シマヘビ(Elaphe quadrivirgata)を用いて、シマヘビ-ニワトリ間で比較染色体地図を作製し、ニワトリのマイクロ染色体と相同なヘビの染色体領域の遺伝子について、3番目のコドンのGC含量(GC3)を比較しました。その結果、ニワトリのマイクロ染色体と相同なヘビのマイクロ染色体の遺伝子のGC3は有意に高く、一方、マクロ染色体部位の遺伝子のGC3が低いことを明らかにしました。マイクロ染色体では物理的なサイズあたりの組換え頻度が高くなることから、この結果は、爬虫類においても、交差部位に形成されるヘテロ二重鎖のミスマッチ修復によって有意なGC含量の蓄積が生じていることを示しています。私たちはカメ類でも同様の結果を得ており、染色体サイズ依存的なゲノム構造の区画化は、竜弓類全体に見られる現象であることを明らかにしました。

Matsubara K, Kuraku S, Tarui H, Nishimura O, Nishida C, Agata K, Kumazawa Y and Matsuda Y (2012) Intra-genomic GC heterogeneity in sauropsids: evolutionary insights from cDNA mapping and GC3 profiling in snake. BMC Genomics 13:6

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