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画期的な原因遺伝子同定法がNature Biotechnologyに発表されました

 次世代シーケンサーの登場により、研究手法が大きく様変わりしていることはご存じの通りと思います。今回、本新学術領域研究「寺内班」により、さらに画期的な次世代シーケンサーを使った手法がNature Biotechnologyに発表されましたので、その内容を簡単に紹介します。

 従来法では、突然変異体の原因遺伝子の同定には、SNPsの存在する系統と掛け合わせて、F2世代の集団からバルクでDNAを回収し、次世代シーケンサーを用いてSNPsのタイプを読み取り、注目する表現型との連鎖解析をするものでした。今回、寺内班により改良されたMutMap法では、SNPsにはEMS処理で置換された塩基を使います。従って、交配する場合はEMS処理した同一系統の野生型を使用します。

 これにより、扱うSNPsの数が圧倒的に減り、解析が容易になりました。また、F2集団は少なくてすむため、広大な栽培スペースが必要であった作物にはうってつけです。同一系統内で解析するため、従来法のような表現型のバックグラウンドノイズが少なく、これまで困難であった小さな表現型の差異も容易に検出できます。また、原理的には、交配によらず解析することが可能であるため、交配が困難な生物でもM2世代が得られるなら解析が可能です。

 今後、突然変異体の原因遺伝子の同定には、MutMap法が使われるようになり、従来法は過去のものとなる革命的な進歩と思われます。

DSCN3158.JPGGenome sequencing reveals agronomically important loci in rice using MutMap.

Abe, A., Kosugi, S., Yoshida, K., Natsume, S., Takagi, H., Kanzaki, H., Matsumura, H., Yoshida, K., Mitsuoka, C., Tamiru, M., Innan, H., Cano, L., Kamoun, S., and Terauchi, R.

Nature Biotechnol (2012) 30: 174-178.

http://www.nature.com/nbt/journal/v30/n2/abs/nbt.2095_ja.html


論文紹介(木下@奈良先端大)


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