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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2012年5月の記事を表示しています

研究成果がPLoS ONEに掲載されました

 キイロショウジョウバエのBtk29A遺伝子は、非受容体型のチロシンキナーゼをコードしています。これには二つのアイソフォームがあり、そのうちtype 2はヒトのX連鎖無ガンマグロブリン血症原因遺伝子産物であるBTKのオルソローグです。このBtk29A type 2産物を特異的に欠損したBtk29AficP突然変異体は、成虫期の寿命が顕著に短縮する表現型を示します。幼虫の脳及び成虫頭部、それぞれからRNAを抽出し、トランスクリプトーム解析を行ってBtk29AficP突然変異体とその復帰変異体(正常型)との間にどのような転写プロファイルの違いが生じているかを調べました。7004から7979種のRNAを比較した結果、発生ステージや組織が異なれば、Btk29A type 2の欠如によって影響を受ける下流の遺伝子群も著しく異なることがわかりました。すでに得られていたマウスBTKに関するトランスクリプトーム解析の結果との比較から、ショウジョウバエと哺乳類とでは、相同な遺伝子の変異であっても、それによって影響を受ける下流の遺伝子群は著しく異なることがわかりました。この研究により、相同な遺伝子の機能が進化の過程で系統ごとに変遷してゆくようすが明らかとなりました。



Nawaz, H. M., Kylsten, P., Hamada, N., Yamamoto, D., Smith, C.I.E., Lindvall, J. M.(2012) "Differential evolutionary wiring of the tyrosine kinase Btk." PLoS ONE. 7(5): e35640. doi:10.1371/journal.pone.0035640



PLoS ONE図.jpg


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研究成果がPlant Cell Physiol.に掲載されました

 我々は、低分子量Gタンパク質OsRac1がイネの免疫において中枢を担うタンパク質であることを明らかにしている。しかしながら、OsRac1 による防御関連遺伝子の制御機構は、不明であった。OsRac1 による防御関連遺伝子の制御機構を明らかにする目的で、恒常的活性型のOsRac1 により発現誘導がされる転写因子を検索したところ、basic helix-loop-helix 型転写因子であるRac Immunity I (RAI1)を同定した。(RAI1) PAL1 WRKY19 等の防御関連遺伝子のプロモーター部位に直接結合して、遺伝子発現調節を行っていることが明らかになった。さらに、OsRac1 MAPK3 あるいはMAPK6 によるリン酸化を介して転写因子RIM1 の活性を調節し、PAL1 OsWRKY19 の発現を調節することが示唆された。



pcp kim.jpgのサムネール画像


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Plant & Cell Physiolosy誌にエピジェネティクス特集を組みました

エピジェネティクスは、数多くの分野に関連が深く、本新学術領域研究でもその理解の為のキーワードの一つとなっています。


植物の分野でも例外ではなく、この度、金(理化学研究所)、玉田(基礎生物学研究所)、木下(奈良先端大)の本領域の班員らにより、Plant & Cell Physiolosy誌にPlant Epigeneticsの特集号を発刊致しました。


http://pcp.oxfordjournals.org/


Kinoshita, T. and Jacobsen, S. PCP (2012) 53: 763-765

Buzas, D., Tamada, Y. and Kurata, T. PCP (2012) 53: 785-793

Kim, J-M., To TK. and Seki, M. PCP (2012) 53: 794-800

Yun, J-Y., Tamada, Y., Kang, YE. and Amasino, RM. PCP (2012) 53: 834-846

Kim, J-M., To TK., Ishida, J., Matsui, A. Kimura, H. and Seki. M. PCP (2012) 53:843-856




PCP表紙.jpg

5月号の特集では、植物のエピジェネティックスの最先端研究の総説や原著論文が網羅されています。低分子RNA、ヒストン修飾を介したDNAメチル化の機構、トランスポゾンの活性制御、クロマチン修飾を介した植物の開花制御、環境応答とエピジェネティクス、生殖過程のリプログラミング、ゲノムインプリンティングなどなど、本新学術領域のテーマも数多く含まれます。


左の表紙イラストはコンピュターグラフィクスを用いてシロイヌナズナをクロマチンで描いています。


詳細は是非ご一読下さい。


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