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カメ類が持つXY型性染色体の起源とその分化過程を世界で初めて明らかにし、その研究成果がChromosome Researchの特集号"Sex and Sex Chromosomes-New Clues from Non-model Species"に掲載されました。

カメ類には、温度依存的な性決定様式と遺伝的な性決定様式が存在し、また、遺伝的な性決定を行う種には雄ヘテロ型(XY型)と雌ヘテロ型(ZW型)の性染色体を持つ種が共存するため、カメ類は性染色体や性決定様式の進化を明らかにするうえで非常に興味深い研究対象です。

我々は、ホオジロクロガメ(Siebenrockiella crassicollis)がもつ分化型のXY染色体に着目し、染色体ペインティングと遺伝子マッピングによって性染色体の遺伝連鎖群を同定し、遺伝子オーダーの比較によってX-Y染色体間に生じた構造変化を調べました。その結果、S. crassicollisX染色体の連鎖群はニワトリの5番染色体と相同であり、その遺伝子オーダーにも違いはなく、25千万年以上にわたり両者の染色体構造に変化が生じていないことがわかりました。また、X-Y染色体間の遺伝子オーダー、ならびに染色体を構築する多様なヘテロクロマチンの分布を調べた結果、S. crassicollisXY染色体は性染色体分化の初期段階にあり、Y染色体において動原体の再配置(repositioning)が生じたことが示唆されました。これらの結果は、遺伝的性決定様式を獲得した後の性染色体分化過程を解明するうえで重要な情報を提供するものです。

 

Kawagoshi, T., Nishida, C. and Matsuda, Y. (2012) The origin and differentiation process of X and Y chromosomes of the black marsh turtle (Siebenrockiella crassicollis, Geoemydidae, Testudines). Chromosome Research 20: 95-110.

http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/22183803

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