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DNAメチル化酵素多様化についての研究成果がNucleic Acids Researchに掲載されました。

DNAのメチル化は遺伝子発現制御のほか、バクテリアにおいては鞭毛のスイッチング、ゲノム複製制御にも関わるなど、その重要性が広く研究されている。こうしたDNAメチル化を起こす修飾酵素を多く持つ菌としてピロリ菌が挙げられる。ピロリ菌はヒトの胃に生息するバクテリアで、胃癌等の胃の疾病の原因とされている菌である。ピロリ菌は修飾酵素を30以上保有しており、その生物学的意義が問われていた。多数の株のゲノム配列を比較した結果、4つのIII型修飾酵素について、認識配列を決定する配列認識ドメインが多様であることに加え、配列認識ドメインが異なるオルソログ同士で共有されていることが見出された。修飾酵素には、異なるオルソログ同士間でもごく短いモチーフ配列が配列認識ドメインの両脇に存在し、この配列を足場とした組換えによってドメインが移動したと考えられる。配列認識ドメインと類似の配列を検索すると、ピロリ菌以外の種でも散見され、種内だけでなく、種間でもドメイン配列をやり取りすることで、修飾酵素の認識配列を多様化し、ピロリ菌ゲノム中のDNAメチル化部位を多様化していると考えられる。

Yoshikazu Furuta, Ichizo Kobayashi. Movement of DNA sequence recognition domains between non-orthologous proteins. Nucleic Acids Res., published online.


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