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「ゲノムのID配列(自己配列)」のタンパク質による認識のしくみを明らかにした論文が、PNAS誌に掲載されました

 何が「自己」ゲノムで何が「非自己」ゲノムかを見分けるしくみは、ゲノムの維持に重要です。この生命活動の根本について、もっとも研究が進んでいる大腸菌では、「非自己」ゲノムを分解し、「自己」ゲノムを修復することが、RecBCDという酵素によって行われています。この酵素は、DNAに両鎖切断があると、そこからDNAの鎖をほどき分解しながら進んでいきますが、特定のID配列(カイ配列、5'-GCTGGTGG-3')があると、そこで分解をやめ、相同組換えによる修復に切り替えます。こうして、制限酵素などで切断された「非自己」のDNAは完全に分解され、複製フォークなどで切断された染色体(「自己」DNA)は修復されることになります。このID配列は、近くの相同組換えを促進する「組換えホットスポット」として発見されました。どういう配列がID配列になるかは、細菌の系統ごとに異なっています。

 本研究では、この配列をこの酵素のどのような立体構造が認識して、反応様式の切り替えをもたらすかを、多数の変異体の解析によって明らかにしました。この結果は、「自己」「非自己」認識という生命の根元を、原子座標の分解能で理解する上での突破口になるでしょう。

 

Naofumi Handa, Liang Yang, Mark S. Dillingham, Ichizo Kobayashi, Dale B. Wigley, Stephen C. Kowalczykowski. Molecular determinants responsible for recognition of the single-stranded DNA regulatory sequence, χ, by RecBCD enzyme. Proc. Nat. Acad. Sci. USA, epub ahead of print.

http://www.pnas.org/content/early/2012/05/16/1206076109


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