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リボソームRNAの予想外の変異についての論文が刊行されました

リボソームRNA遺伝子は、多くの遺伝子の中でもとりわけ保守的と見なされ、生物の系統分類に使われています。私たちは、リボソームRNA遺伝子の大規模な変異を、入手できる全ての細菌の完全ゲノム配列のバイオインフォマティクス解析によって、探しました。

mRNA5'部分にあるSD (Shine-Dalgarno) 配列と、16S RNAにある反SD配列が、ペアを作る」という翻訳開始の機構は、すべての細菌にあると信じられてきました。ところが、私たちは、「どの16S RNAにも、反SD配列のコア配列(5'-CCTCC-3')が無い」という細菌を発見しました。この喪失に対応して、遺伝子の上流のSD様配列の喪失が起きていました。

私たちは、また、大規模な再編を起こしたrRNA遺伝子を発見し、その形成過程を再構成しました。それらは、「逆位」、「重複」、「トランスポゾン挿入」、「欠失」、「置換」です。それらの背景には、「リボソームRNA転写と染色体複製の方向が同一になる選択」、「rRNA遺伝子の水平伝達」、「rRNA変異のゲノム内での遺伝子変換による広がり」という生物学的過程が推定できました。

これらの結果は、これまで見過ごされていた「リボソームRNA遺伝子とタンパク合成装置のダイナミックな進化の過程」を理解する出発点になるでしょう。

この論文は、Faculty of 1000に推薦されました。

Kyungtaek Lim, Yoshikazu Furuta, Ichizo Kobayashi. Large variations in bacterial ribosomal RNA genes. Molecular Biology and Evolution, epub ahead of print.

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