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タンパク質直接的相互作用を介したイネ抵抗性遺伝子(R)といもち病菌非病原力遺伝子(AVR)との共進化に関する研究成果がThe Plant Journalに掲載されました

生物間相互作用は個々の生物にどのような影響を与え共進化をもたらしているのでしょうか? 病原菌に対する宿主植物の防御メカニズムは、宿主植物と病原菌との相互作用によって変化します。私たちは、いもち病菌から分泌されてイネの細胞に送り込まれる非病原力遺伝子(AVR)タンパク質と、対応するイネの抵抗性遺伝子(R)タンパク質とが、直接的タンパク質相互作用し、アミノ酸変異による両者の結合度の違いが抵抗性の程度を決定していることを明らかにしました。その研究成果はThe Plant Journalに掲載されました。

  抵抗性タンパク質Pik2種のCC-NBS-LRRであるPik1Pik2から構成されます(Ashikawa et al.2008,Genetics 180:2267)が、その一方のPik1が、直接的タンパク質相互作用によっていもち病菌AVR-Pikを認識することが、本研究によって明らかとなりました。さらに、AVR-Pikと結合するPik1のタンパク質領域は、アリル間で変異に富む領域であることも分かりました。また、いもち病菌由来のAVR-Pik及びイネの抵抗性遺伝子Pikには、それぞれ多数のアリルがあり、アミノ酸変異をもたらすDNA変異で異なっています。このAVR-PikPikのアリル間での直接的タンパク質相互作用の結合度の違いが、アリル間の特異的抵抗性認識に影響をもたらすことも明らかとなりました。以上の結果から、イネ抵抗性遺伝子Pikは、いもち病菌AVR-Pik産物とのタンパク質直接的相互作用を介して抵抗性を獲得し、AVR-Pikと共進化していること、Pik1の変異がAVR-Pikアリルに対する抵抗性認識に重要な役割を担っていることが明らかになりました。

 

Arms race co-evolution of Magnaporthe oryzae AVR-Pik and rice Pik genes

driven by their physical interactions

 

H. Kanzaki, K. Yoshida, H. Saitoh, K. Fujisaki, A. Hirabuchi, L. Allaux, E. Fournier, D. Tharreau, R. Terauchi

 

The Plant Journal,  2012   DOI:1365-313X.2012.05110.x. http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed?term=22805093

 

論文紹介 (寺内@岩手生工研)

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