HOME > 研究経過報告 > 研究成果がJournal of Experimental Zoology Part B: Molecular and Developmental Evolutionに掲載されました

研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

「研究経過報告」内を検索

研究成果がJournal of Experimental Zoology Part B: Molecular and Developmental Evolutionに掲載されました

脊椎動物ボディプランの進化にはシス制御エレメントの進化が重要な役割を果たすと考えられていますが、その実態はほとんど不明でした。本研究では、ほ乳類の頭顔面形態形成に関わると考えられるDlx3/4遺伝子クラスターでの転写制御機能の進化を明らかにするために、12種のほ乳類配列を決定し分子進化解析を行いました。単孔類のカモノハシを外群として解析を行ったところ、有袋類と真獣類の共通祖先において鰓弓特異的シス制御エレメントに急速な進化が起きており、それ以後は極めて保存的に進化していることが明らかになりました。カモノハシの相同配列には鰓弓でのエンハンサー活性が見られないことから、有袋類と真獣類の共通祖先において鰓弓特異的なエンハンサー活性が獲得されたことが示されました。このエンハンサー活性が見られる組織は後に耳を形成する領域であり、有袋類と真獣類の共通の特徴である発達した外耳の発生・進化に関わっている可能性があります。

この他、Dlx4遺伝子のホメオドメインにも有袋類と真獣類の共通祖先において突然3アミノ酸置換が生じ、それ以後は完全に保存していることが示されました。通常ホメオドメインのアミノ酸配列は極めて保存的で複数の置換が一斉に起きることはまれで、こちらも何らかの適応進化の結果と考えられます。

Theria-specific homeodomain and cis-regulatory element evolution of the Dlx3-4 bigene cluster in 12 different mammalian species.

Kenta Sumiyama, Tsutomu Miyake, Jane Grimwood, Andrew Stuart, Mark Dickson, Jeremy Schmutz, Frank H. Ruddle, Richard M. Myers, and Chris T. Amemiya. 

Journal of Experimental Zoology Part B: Molecular and Developmental Evolution 誌
http://onlinelibrary.wiley.com/journal/10.1002/(ISSN)1552-5015
Article first published online: 5 SEP 2012 | DOI: 10.1002/jez.b.22469

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関