文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」
鳥取大学の首浦 武作志氏、理化学研究所の岡野 正樹博士、連携研究者の木村 宏博士、鳥取大学の多田 政子博士によるOriginal paper "Heterochromatin restricts 5mC to 5hmC conversion to euchromatin" がChromosome Research誌の2012年10月号にて発表されました。胚性幹細胞(ES細胞)のM期染色体におけるヒドロキシメチル化シトシンの領域はH3K4me2、me3によって標識されるユークロマチン領域と一致しており、H3K9me3などによって標識されるヘテロクロマチン領域とは一致しませんでした。さらに、しばしば姉妹染色体の片方だけにヒドロキシメチル化シトシンが観察されたことから、通常のメチル化シトシンと異なり、ヒドロキシメチル化シトシンはDNA複製時に娘鎖には必ずしも維持されないことが示唆されました。それにもかかわらず、ヒドロキシメチル化が姉妹染色体のどちらにも観察されない常染色体はほとんど観察されませんでした。以上の結果は、間期において活発に新規シトシンメチル化が起きており、さらにユークロマチン領域ではTetタンパク質によってメチル化シトシンが活発にヒドロキシメチル化シトシンに変換されていることを示唆しています。
Kubiura M, Okano M, Kimura H, Kawamura F, and Tada M. (2012) Heterochromatin restricts 5mC to 5hmC conversion to euchromatin. Chromosome Res 20:837-848.