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アフリカツメガエルの比較染色体地図を作製し、異質倍数化後に生じたゲノム・染色体再編成過程を明らかにしました

アフリカツメガエル (Xenopus laevis) は、祖先型二倍体種の異種間雑種のゲノム倍数化によって生じた異質四倍体種であることが知られています。本研究では、FISH法を用いてアフリカツメガエルの機能遺伝子染色体地図を作製し、二倍体種のネッタイツメガエル (X. tropicalis) の染色体地図と比較することによって同祖染色体対を同定し、異種間雑種の四倍体化後に生じたゲノム・染色体再編成のパターンとそのプロセスを明らかにすることを試みました。cDNAを用いた比較染色体マッピングの結果、同祖染色体9組を全て同定することができ、それぞれの遺伝連鎖群を比較した結果、2組の同祖染色体間に逆位が存在することを除けば、2種間ならびに同祖染色体間での相互転座は検出されず、異質四倍数体化後約4.000~5.000万年経過しても遺伝連鎖群は高度に保存されていることを明らかにしました。また、四倍体化後の遺伝子の欠失は非常に少なく(17%)、遺伝子レベルでの二倍体化はほとんど進んでいないことを見出しました。これらの結果は、2013年7月3日付でHeredityにオンライン publishされました。


これまでに報告されたEST解析の結果によれば、68~75%の遺伝子で発現の二倍体化が見られたことから、倍加した遺伝子にエピジェネティックな発現制御が起こっている可能性が考えられます。現在、BACクローンを用いたゲノムマッピングと、起源の異なる二倍体種由来のレトロトランスボゾン配列のFISH解析によって同祖染色体の起源(AゲノムとBゲノム)の識別を試みています。

Uno Y, Nishida C, Takagi C, Ueno N, Matsuda Y. Homoeologous chromosomes of Xenopus laevis are highly conserved after whole genome duplication. Heredity (published online)

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