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イネいもち病菌の胞子生産と菌糸のメラニン化に関与するヘキソーストランスポーター様タンパク質遺伝子MoST1を同定し、FEMS Microbiology Lettersに掲載されました

 イネいもち病菌の大規模遺伝子破壊解析により、胞子生産および培養菌糸のメラニン化に必要とされるヘキソーストランスポーター様タンパク質遺伝子MoST1が同定された。MoST112個の推定膜貫通領域を含む547アミノ酸からなるタンパク質をコードしている。MoST1遺伝子破壊株(most1)では培養菌糸のメラニン化が抑制され、most1の胞子生産量が著しく減少した。これらの表現型はMoST1の再導入によって相補された(most1+MoST1)。Magnaporthe griseaデータベース(http://www.broadinstitute.org/annotation/fungi/magnaporthe/)を用いてMoST1アミノ酸配列のBLASTP検索を行った結果、他の66個のヘキソーストランスポーター様タンパク質遺伝子が見出された。その中の3つの遺伝子がコードするタンパク質はMoST1と高い相同性を示した。そこで、MoST1プロモーターの下流にこれら3遺伝子をそれぞれ融合させたベクターでmost1を形質転換した結果、いずれの形質転換体においてもmost1の胞子生産と菌糸のメラニン化の欠損は相補されなかった。以上の結果から、MoST1は、イネいもち病菌のヘキソーストランスポーター群の中で、胞子生産と菌糸のメラニン化に特異的な役割を担うタンパク質であることが明らかとなった。

 

Saitoh, H., Hirabuchi, A., Fujisawa, S., Mitsuoka, C., Terauchi, R. and Takano, Y.

FEMS Microbiology Letters (2014) 352: 104-113

 

論文紹介 (齋藤@岩手生工研)


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