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「インシリコ染色体ペインティング」による種内集団構造の推定


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種内の集団構造の推定は、あらゆる遺伝学的進化学的生態学的研究の出発点です。しかし、現在の諸方法は、ゲノムの間の相同組換えの扱いに限界を持っています。私達は、相同組換えによる一繋がりのDNA配列の輸入を検出し数え上げる「インシリコ(コンピューター内)染色体ペインティング」法を、世界各地のピロリ菌の全ゲノム配列 に適用しました。

 

ピロリ菌はヒトの半数に感染している単細胞の細菌で、胃炎・潰瘍・胃がんなどを起こします。出アフリカ以前から、ヒトとともに地球上を移動して系統地理的進化を遂げて来ました。

 

その結果、これまでの方法に比べて遥かに詳しい集団構造を明らかにできました。日本本土株、沖縄株(私達が今回新規に解読)、韓国株を含む、東アジア集団は、多数の分集団に分かれました。

 

この方法による 集団構造の解明が、様々な生物での種内の遺伝・進化・生態の研究に、役立つことを期待しています。

 

Yahara et al. Molecular Biology and Evolution (2013) 30: 1454-1464.

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