東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

【出前講義】鹿児島県立錦江湾高等学校・SSH生徒課題研究発表大会・コメンテーター、プレゼン指導(2/1)

2013年2月 1日 (金)

 2月最初のアウトリーチ活動は、鹿児島県立錦江湾高等学校・SSH生徒課題研究発表大会のコメンテーターでした。仙台もここ数日天気がよいこともあり、日が当たるところの雪は解けましたが、そうでない日陰にはたくさんの雪と、氷の状態になったものがたくさんあります。それから考えると、さすが、九州・鹿児島。春を感じるような暖かさでした。

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DSCN5497.JPG 先日は、北海道・東北地区のSSH発表会にも参加したので、北と南での違いなど、なるほどと思うところも。。鹿児島までなぜという方もいるかもしれないですが、鹿児島県立錦江湾高等学校のコアSSH・ダイコンコンソーシアムの運営指導委員を引き受けていることもあり、今回の参加となりました。最初に県教委の方から挨拶があり、その中に、東日本大震災の被災地の現状について話があり、ほとんど復興されていない。これをどう考えますかという問いが。。。遠く離れているから、わからない部分があるかもしれないですが、仙台市周辺の沿岸部はこの状況だと言うことを、ぜひ、わかってほしいと、こちらも思った次第でした。

DSCN5498.JPG 口頭発表の多様性は、他の高校にないような領域融合のものがあると思います。物理、化学、生物、地学、スポーツ科学、食物科学。使う材料も、鹿児島になじみの桜島、桜島大根、火山灰を研究材料に使っているのは、よいことだと思います。何より、身の回りの自然を理解する心がはぐくまれるのではと思います。全国大会で発表するような研究もあり、qualityも高いものがありました。

 昼休みには、国内外の学会でポスター発表をするときの注意点というか、こんな風にプレゼンをすると、よいのではと言うことで。高校生なのでというのもあるかもしれないですが、将来、大学に進学し、学会などで発表することを考えれば、ということで。もちろん、すごい興味がある内容であれば、ポスターの隅から隅まで説明してほしいと言うこともあるかもしれません。ただ、多くの場合、興味があっても、時間がないので、ピンポイントで、ここがというところを見つけて、より多くの情報をgetする。というのが、よいのではと言うことを。このプレゼンがbestと言うことはないかもしれないですが、参考になれば。。

DSCN5508.JPG 会議の最後に、SSHの運営指導委員長の鹿児島大・阿部先生から、講評として、「先輩からの継承実験は、その中身をきちんと理解する。」、「実験内容を十分に理解して、発表する。」、「その結果から、何が言えるのか、考える。」、「最初の仮定からずれた結果になっても、くじけず、もっと実験・研究を続ける。」、という、どこの世界でも大事なことを頂きました。

 最後になりましたが、今回の発表会でお世話になった、校長先生、樋之口先生、讃岐先生をはじめとする、錦江湾高校の先生方にお礼申し上げます。また、来春以降にコアSSHでお会いできるのを楽しみにしております。


 わたなべしるす


 PS. 鹿児島までの往復、飛行機でしたが、機内放送で、「先のB787 dream linerの件について。。。」という、なんというか、おわびというか。。。そんなのを聞いていると、何か、痛々しいものがありました。いつも機械を使っていて、何かを解析していて、その機械が調子が悪いと、確かに、実験をやってもらっている学生さんには、迷惑をかけるなと思いますが、。。代わりをお願いしたり、ということももちろん。ただ、このように丁寧なことはなく。。機械を使って、実験をしている、その部屋のheadとしては、こうしたことも考えないといけないのだと、。。。そんな思いを抱いた出張でもありました。

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SSHサイエンス・カフェ

2013年1月28日 (月)

26日の記事にもありましたが、昨日27日に、東北・北海道地区SSH指定校発表会の中で行われたサイエンス・カフェでお話をしてきました。

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90分講義をするというのは初めての経験だったので、時間がもつか不安でした・・・。
メインのお話しは、実際に行っている研究内容についてということだったのですが、その前に、なぜ私が理系に進んだのかというお話や、大学受験、大学院受験、大学生活についてなど、様々なことをお話ししました。

そして、研究の話をする前にアブラナ科植物当てゲームを行いました!

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ワサビやミズナもアブラナ科植物であること、ホウレンソウやレタスはアブラナ科ではないことなど、
参加してくれた高校生たちは新たな発見があったようで、なによりでした。

ここで一番驚いたのは、「ハボタン」を知らない高校生が多かったこと。
今の時期、高校でも花壇に植えてあるのではないかと思ったのですが、最近は違うのでしょうか。

このゲームを通して、私たちの身の回りには多くのアブラナ科植物があるということを伝えられたと思います。



最後に、私が現在行っている花粉動態についても、どうしてこのような現象が起こるのかということを考えてもらいました。

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みなさん自分の考えをしっかりと持っていて感心しました。
私も見習わなければと思いました。
まだ解明されてないことを考える楽しみ、研究のおもしろさを伝えられたと思います。


自分の研究について一般の方に発表する機会はあまりないので、様々な質問も頂き、とても良い刺激になりました。
また気持ちを新たにして、研究に取り組んでいきたいと思います。

M1 曽根


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【出前講義】平成24年度 東北・北海道地区SSH指定校発表会・座長、コメンテーター(1/26-27)

2013年1月26日 (土)

 北海道・東北地区には、出前講義、実験指導に伺ったり、運営指導委員を引き受けている高校が、三本木高校八戸北高校盛岡第三高校釜石高校水沢高校仙台第三高校仙台第一高校古川黎明高校鶴岡南高校磐城高校福島高校とあります。これらの高校以外のSSH指定校も集まり、相互に交流があるというのも、何よりだと思いますし、こうしてSSHに関わるようになったのも、2008年1月の水沢高校での東北地区のこうした発表会がきっかけでした。

DSCN5485.JPG 2008年には、数校だったSSH実施校も、今では、各道県にあり、23校にまで増えて、。。そんなこともあり、発表は各校代表によるプレゼンも2会場で同時並行。間に、ポスター発表をはさんで。自分の時代を考えると、プレゼン力というのは格段に上がっているのを感じます。英語でのプレゼンには驚きました。ただ、なぜ、その材料なのか、それを使うときに条件は同じなのか、というような、研究をする上での基本的な部分が少ししっかりして折らず、実験という手を動かすことに興味大きくいっているのではというのが、気になりました。実験系は、できるだけ単純というか、homologousな状態で行うもので、heterologousな環境で行うと、何が要因なのか、わからないというか、考える因子が多くなりすぎて、。。とおもいます。実験系をどれだけ工夫するかで、そこから言えることが明確になったり、ぼんやりしたりと思いますので。また、なぜそうなるのかと言うことについての考察を、普段の自然観察としっかり結びつけてほしいと。。。

DSCN5486.JPG 明日は、うちの研究室の曽根さんが、サイエンス・カフェと言うことで高校生にプレゼンをして、植物、自家不和合性、キャリアなど、いろいろなことを話してくれると思います。そのことは、また、曽根さんから。。。

 最後になりましたが、仙台三高の関係の先生方、参加された先生方にお礼申し上げます。また、次年度もより発展した形で、交流ができればと思います。よろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. ポスターセッションの中で、JSTでSSHを統括されている多田羅様と、SSHにまつわる様々なことを議論でき、これから多くの運営指導委員会もあり、たくさんの参考を頂きました。ありがとうございました。

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【出前講義】石川県立小松高等学校SSH集中講義-3(「高等植物の自家不和合性」、SSHポスター発表コメンテーター)(1/25)

2013年1月25日 (金)

 3日目も、昨日に引き続き、小松高校。SSH研究発表会でのコメンテーターと公開特別講義。昨年は、この公開特別講義を聴講してくれた兵庫・豊岡高校の先生とお会いしたことで、昨年末の出前講義につながりました。

DSCN5457.JPG 昨年も文理融合のような公開講義が社会科で行われていて、感動しましたが、今年は保健体育科。担当されている先生の名字が「越智」先生。数年前の市町村合併までは、愛媛県越智郡に多くの市町村がありました。今は、たしか上島町だけになったような。つまり、この名字の方のoriginは、渡辺の出身の今治の周辺の方。以前に伺ったときにお話ししたとき、聞いたのですが、大三島。村上水軍の大山祇神社があるところ。村上水軍の本拠地でもあります。今は、ここで体育の先生と野球部の監督をされているとか。講義では、「総合科学」として、メンタルトレーニングとして、「最強プラス思考の作り方」ということで、野球の話題から。渡辺にはとても入りやすい導入でした。高校生活だけでなく、人生では「プレッシャーの連続」。そう考えたとき、こうしたテーマを科学的に考えることは、大切なことだと。。。そのために、脳みその特性を理解して、「できる」というか、「絶対にやる」という気持ちなのかもしれない。さらに、やりたいことを想像、というか、「妄想」することが大事なことなのだと。。。研究でも、絶対に論文をacceptにするという信念と妄想が大事なのだと。。厳しい局面、つまり、1アウト満塁のピンチのような場面で、どれだけリラックスできるかが、勝負を分ける、なんとなく、和歌山県の箕島高校の監督をされていた「尾藤監督」の甲子園での姿を、この北陸の地で思い出させてくれました。

DSCN5458.JPG 午後からのポスターセッションでは、いくつかのポスターを見て、議論する時間がありました。年度初めに、物理に関する実験をするというので、あれこれと検討した結果、北陸本線を走る特急列車の音の計測をとなったようでした。ただ、列車の構造、線路の構造など、鉄道に関する基礎知識というか、基本的なことを理解してなくて、実験を行っていたのは、少し残念でした。ぜひ、普段見ているもの、やろうとするものについては、deepに理解するまで行かなくても、基本的なことは理解して、やることが大切だと。。。

 最後が渡辺の特別講義。講義としても最後となりました。1年生の理数科を対象に「自家不和合性」の講義。前日も数名の理数科の生徒さんが講義に来ていました。彼らは、昨年の10月にキャリア教育を行ったメンバーでした。最初に、普段食べている野菜などの花の名前。半分くらい、わかったのは、観察の大切さを理解できているのではと。。ぜひ、継続して、来年度の課題研究に活かしてください。花粉管伸長、自家不和合性の動画などは、やはり引きつけるものがあるのと、植物がそこまで考えていると言うことは、驚きだったようです。というか、これをきっかけに植物を見直してもらえたのではと。。。

DSCN5467.JPG 3日間に亘る集中講義でしたが、いろいろなことをこちらも学ぶことができました。何より、北陸での農業高校におじゃまできたことは何よりでした。この3日間、小松高校・翠星高校の先生方には、お世話になりました。ありがとうございました。特に、SSH室の先生方には、。。来年度も引き続き、よろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. 最終日は前日までと異なり、冷たい風が吹く北陸の冬という感じ。朝は風が強いだけだったのが、昼過ぎから少しずつ積雪も。。。テレビで見るようなすごい積雪になったらどうしようと思いつつでしたが。。何とか収まり。。雪の研究の先駆者である、「中谷宇吉郎博士」の母校でもある、小松高校の校庭には、雪とそのモニュメントが。。。

DSCN5484.JPG PS.のPS. 午前の野球部の監督をされている越智先生のこともあり、何名かの野球部の生徒さんと話をする機会がありました。昨年の9月の「道標」にも書いた、夏の甲子園での熊本・済々黌のプレー。あの試合の翌日には、部内で議論になったとか。さすがと思いました。ちゃんとルールを理解して、科学的野球を考えているのはすばらしいと。

 PS.のPS.のPS. 以前mailをもらった生徒さんが、昨日の夕方の講義中に、来てくれたようでしたが、こちらが講義をしていてお会いできず、。。受験生とか。。。がんばってください。あと少しですので。。

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【出前講義】石川県立翠星高等学校特別講義・小松高等学校SSH集中講義-2(「高等植物における生殖・受粉反応、アブラナ科作物の多様性」)(1/24)

2013年1月24日 (木)

 昨日は、小松高校で主に研究指導。中日は、「高等植物における生殖・受粉反応、アブラナ科作物の多様性」というタイトルで、農業高校の翠星高校と小松高校で講義を。今まではこの講義は農業高校で行うことが一般的で、普通科の高校で行ったのは初めてかもしれません。それも午前、午後で同じような講義というのも。。。朝、小松高校に伺ってからでしたが、今日も違うversionのwelcome boardが。。。さすがの域になってきました。。。というか、午後にもさらにversionが変わっているというこり方。。。感動です。ありがとうございました。

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DSCN5391.JPG 翠星高校ダイコンコンソーシアムに参画されており、夏には小学生に鹿児島でいっしょに出前講義をして頂きました。ずいぶん古い歴史があり、札幌農学校と並ぶ、古い歴史があるとか。札幌農学校は、もちろん、今の北海道大学農学部ですが、もとは、東北大学の農学校として設立されたはず。。。お米甲子園で金賞受賞だったり、模擬株式会社を校内でやっていることが表彰されたりする、activityの高い高校。校長室には毎日、生け花があるとか。やっぱり花は落ち着きます。

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DSCN5357.JPG さて、講義ですが、この講義と同じパターンを農業高校で行ったのは、10月の福島の岩瀬農業高校以来。ほぼ、同じようなことを学習している生徒さんだったので、とてもよい反応で。それぞれの地方で、これに対してよく反応するなど、教える内容は同じでもとらえ方の違いでしょうか。そんなことを感じた講義でした。最後には質問の時間もあり。講義の後には、ダイコンコンソーシアムについてのこれからの方向性なども議論できました。ありがとうございました。よろしくお願いします。

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DSCN5386.JPG 小松高校では、時間の関係で希望者だけに。明日、1年生理数科に「自家不和合性」の講義予定があり、昨年秋には、2年生の生物履修者に「自家不和合性」の講義をしていたので、アブラナ科作物の多様性と品種改良について、話を変更して。。。小学校の出前講義でよく行っている「キャベッコリー」、「種(しゅ)が同じであるということは」、「アブラナ科作物の多様性」、「品種改良とは」というような話に。実際に、雑種を作ったらどんな絵になるのか、普段食べているアブラナ科作物で、どの作物とどの作物が同じ種で違うのか、形態だけでは同じとは言えないなど。前日のダイコンの観察・調査などでサンプリングした実際のダイコンを観察しながら。。。また、品種改良の実際的な過程、雑種強勢の実際も例示しながら。。。考える講義をトライしてもらいました。ここで講義をした方々が、雑種強勢などまだわかってないことを解明する世代になると思います。そうした方々と、いっしょに研究ができる日が来るのを楽しみにしています

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DSCN5441.JPG 最後には、質問ラッシュというか、研究について、進路のことなど。多岐に亘って。。。今悩むことも大切。そして、それを目標に達成することも。2年生が質問でしたので、すぐに受験生に。がんばってください。

DSCN5455.JPG 翠星高校・大丸先生をはじめとする関係の先生方には、お世話になりました。ありがとうございました。もちろん、小松高校の先生方にも。。。


 わたなべしする

 PS. 先日の記事にも書きましたが、お世話になっている寺岸先生が小松高校の生徒だった時代に、実験をしたビンが20年ぶりに発見されたと。その実物も拝見しました。歴史を感じる一品でした。

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