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研究成果がEvolutionに掲載されました

我々の体の設計図である遺伝物質DNAは、「染色体」という構造をとって体の中に入っています。染色体には、くびれが真ん中にあるような中部動原体染色体とくびれが端にあるような末端動原体染色体とがあります。

このたび我々の研究グループは、常染色体の形と性染色体の進化との間に強い相関があることを発見し、その成果が5月21日付けの米国進化学会誌Evolutionにオンライン掲載されました。

哺乳類の染色体は、オスになる遺伝子を持ったY染色体と、Y染色体と相同だがオスになる遺伝子を持たないX染色体と、性決定に関係のない常染色体とに機能の上から分類できます。性染色体は、長い進化の過程で常染色体と融合したりしながら進化してきたことが知られています。

北野特任准教授と吉田研究員は、X染色体と常染色体の融合は中部動原体染色体を多く持つ哺乳類で起こりやすく、Y染色体と常染色体の融合は末端動原体染色体を多く持つ哺乳類で起こりやすいことを世界で初めて見いだしました。また、X染色体と常染色体の融合には、メスが卵子を形成する(減数分裂の)過程に、どのような形の染色体が卵子に伝達されやすいか(メス減数分裂ドライブ:female meiotic drive)が強く影響しているのではないかという仮説を提唱しました。性染色体の進化に、常染色体の形やメス減数分裂ドライブが関わっていることを示した研究として高く評価されました。

Yoshida, K. and Kitano, J. (2012) The contribution of female meiotic drive to the evolution of neo-sex chromosomes. Evolution, in press
http://onlinelibrary.wiley.com/doi/10.1111/j.1558-5646.2012.01681.x/full


下図:紫と緑で染まった左下の染色体は、Y染色体と常染色体の融合で形成されたネオ性染色体
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下図:染色体の形と融合の起こりやすさに強い相関を発見
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