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爬虫類と両生類における比較染色体マッピングから羊膜類と四肢動物の祖先核型の推定に成功し、その研究成果がPLoS ONEに掲載されました

 羊膜類を二分する竜弓類(爬虫類・鳥類)と哺乳類の核型は大きく異なり、竜弓類の核型は主に大型のマクロ染色体と多数の小型のマイクロ染色体で構成されるのに対し、哺乳類ではマイクロ染色体は見られません。また、両生類でも一部の原始的な種を除きほとんどの種でマイクロ染色体は見られません。一方、原始的な肺魚やシーラカンスは多数のマイクロ染色体をもつことから、羊膜類ならびに四肢動物がもつマイクロ染色体の起源について、進化生物学者の間で多くの議論がなされてきました。私たちは、ヘビ、カメ、ワニとネッタイツメガエルで比較染色体地図を作製し、ヒト、ニワトリ、アノールトカゲのゲノム地図と比較することによって、羊膜類と四肢動物の祖先核型の推定を試みました。その結果、羊膜類の祖先核型はニワトリのマクロ染色体と相同な10の遺伝連鎖群と、ニワトリのマイクロ染色体と相同な数多くのマイクロ染色体をもっていたことが推定されました。同様に、四肢動物においても、ニワトリのマクロ染色体と相同な10の遺伝連鎖群と、ニワトリのマイクロ染色体と相同なマイクロ染色体を少なくとも8つもっていた可能性が示唆されました。以上の結果は、四肢動物の祖先はすでにマイクロ染色体を保有し、竜弓類がもつゲノム・染色体構造は3億5千万年以上にわたり、高度に保存されてきたことを示しています。


Uno Y, Nishida C, Tarui H, Ishishita S, Takagi C, Nishimura O, Ishijima J, Ota H, Kosaka A, Matsubara K, Murakami Y, Kuratani S, Ueno N, Agata K and Matsuda Y (2012): Inference of the protokaryotypes of amniotes and tetrapods and the evolutionary processes of microchromosomes from comparative gene mapping. PLoS ONE 7(12): e53027. 


http://www.plosone.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pone.0053027

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