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植物と病原菌の相互作用を分子レベルで明らかにした研究成果が、Cell Host Microbeに掲載されました。

植物は、病原菌の感染に伴い、病原菌の構成成分を受容体を介して検知する。その信号はMAPキナーゼカスケードに伝達され、様々な免疫反応を誘導されるが、受容体からの信号が、どのようにMAPキナーゼカスケードに伝達されるのか不明であった。我々は、白葉枯病菌がイネの免疫応答を阻害するためにイネ細胞内に分泌するXoo1488エフェクターの標的として、Receptor-like cytoplasmic kinase familyに属するOsRLCK185を同定した。OsRLCK185は、細胞膜上で、病原菌の構成成分であるキチンを認識する受容体であるOsCERK1と相互作用し、キチンを検知したOsCERK1OsRLCK185を、直接リン酸化することによって、免疫シグナルを細胞内に伝達することが明らかになった。さらに、OsRLCK185発現抑制体では、キチンに応答したMAPキナーゼの活性化が抑制されることから、OsRLCK185が、受容体とMAPキナーゼカスケードを繋ぐ分子であることがわかった。また、Xoo1488エフェクターは、OsCERK1によるOsRLCK185のリン酸化を阻害することで、免疫応答を抑制していることが明らかとなった。

 

なお、この論文は、Featured Articleとして無料で公開されています。

また、平成25314日(木)の読売新聞で研究内容が紹介されました。

 

Yamaguchi, K., Yamada, K., Ishikawa, K., Yoshimura, S., Hayashi, N., Uchihashi, K., Ishihama, N., Kishi-Kaboshi, M., Takahashi, A., Tsuge, S., Ochiai, H., Tada, Y., Shimamoto, K., Yoshioka, H., and Kawasaki, T.

A receptor-like cytoplasmic kinase targeted by a plant pathogen effector is directly phosphorylated by the chitin receptor and mediates rice immunity. Cell Host Microbe, 13: 347-357 (2013)

 

Cell Host Microbe 2013

 

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