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論文が掲載されました! Planta (2013) 237: 1001-1013

 

村井班では、核ゲノムとミトコンドリアゲノムの「ゲノム・遺伝子相関」の研究を行っています。植物では、近縁野生種を母親に用い、栽培種を戻し交配親に用いた連続戻し交配によって、野生種の細胞質ゲノム(ミトコンドリアゲノム)をもつ細胞質置換系統が作出できます。近縁野生種Aegilops crassa 細胞質を導入した細胞質置換コムギ系統では、雄ずいが雌ずい化するpistillodyと呼ばれる現象が起こります。これまでの研究から、pistillodyは、雄ずいの形成に関与するMADSボックス遺伝子の発現パターンが変化することが直接的な原因であることが明らかになっています(Hama et al. 2004)。また、ミトコンドリア原因遺伝子の候補として、新規のorf260 を同定しました(Zhu et al. 2008)。この核遺伝子とミトコンドリア遺伝子の間の「遺伝子相関」機構はどのようなものでしょうか?今回、マイクロアレイ解析により、pistillodyを示す幼穂で特異的に発現する新規のカルモジュリン結合タンパク質を同定しました。近年、哺乳類細胞の研究から、ミトコンドリアゲノムから核ゲノムへ何らかのシグナルが伝達され、核遺伝子の発現が制御されるミトコンドリア・レトログレード・シグナル(MRS)の存在が明らかとなってきました。MRSでは、ミトコンドリアからのカルシウムイオン・シグナルが重要な役割を担うと考えられています。カルモジュリンはカルシウムイオン・シグナル系で働く重要な物質です。今回の発見は、動物と植物で共通のMRS機構が存在することを示唆します。

 

Yamamoto et al-Planta2013.pdf

 

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