文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」
私たちは先行研究において、タカ科のクマタカでは、マクロ染色体の動原体解離とマイクロ染色体の融合によってマクロ染色体が中小型化し、微小な4対のマイクロ染色体を除いてゲノム構造の区画化が消失していることを明らかにしました。本研究で解析したミサゴ科のミサゴ (Pandion haliaetus) (2n=74)では、さらに大規模なマクロ染色体の動原体解離とマイクロ染色体の融合によって、マクロ染色体の中小型化と微小なマイクロ染色体の消失が見られました。また、ミサゴでは両腕型の中型染色体が多く、それらは解離したマクロ染色体の動原体融合によって形成され、クマタカを含む他のタカ科鳥類とは異なる染色体構造変化が生じたことを明らかにしました。さらに、すべての染色体間で均質化した2種類の動原体反復配列(173-bp PHA-HaeIII, 742-bp PHA-NsiI)が単離され、ミサゴにおいても、大規模な染色体の構造変化によって、染色体サイズ依存的なゲノム構造の区画化が消失している可能性が示されました。これらの結果は、クマタカの例とともに、染色体サイズとゲノム構造の相関とその進化過程を知るための良い進化研究モデルであることを示しています。