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新世界ウズラは多数のマイクロ染色体を持つにも関わらず、マクロ-マイクロ染色体間の動原体反復配列の区画化が消失していることを動原体反復配列の網羅的解析から明らかにしました。

  鳥類の核型の保存性は非常に高く、鳥類が持つマクロ染色体とマイクロ染色体の間には、遺伝子密度、GC含量、組換え頻度、散在型反復配列のコピー数、複製時期、動原体反復配列などにおいて、染色体サイズ依存的なゲノム構造の区画化が存在することが知られています。そして、この特徴は、約1億2千万年にもわたる現生鳥類の進化過程で安定に保存されてきました。キジ目のナンベイウズラ科に属する新世界ウズラも数多くの微小なマイクロ染色体を持ち、鳥類の典型的な核型を有しています。本研究で、新世界ウズラ3種、コリンウズラ(Colinus virginianus)、カリフォルニアウズラ(Callipepla californica)、ウロコウズラ(Callipepla squamata)から、動原体ヘテロクロマチンを構成する反復配列を網羅的にクローニングした結果、5種類の反復配列が得られました。その内、4つの配列(CVI-HaeIII, CCA-BamHI, CCA-HaeIII, CSQ-BamHI)は性染色体を含むすべて、あるいはほぼすべてのマクロ染色体とマイクロ染色体に存在し、マクロ染色体とマイクロ染色体間で動原体反復配列の均質化が生じていることがわかりました。一方、私たちの先行研究において、旧世界ウズラ科のニホンウズラ(Coturnix japonica)、ヒメウズラ(C. chinensis)、イワシャコ(Alectoris chukar)からは、マイクロ染色体特異的な反復配列以外に、マクロ染色体とマイクロ染色体に共通した動原体反復配列が得られなかったことから、本研究の結果は、一部の鳥類種では、染色体のサイズに依存しない動原体反復配列の均質化が生じていることを示しています。マクロ-マイクロ染色体間のゲノム構造の区画化には、間期核における染色体テリトリーが関与していることが示唆されていることから、一部の種では核内配置に変化が生じている可能性が考えられます。


Ishishita S, Tsuruta Y, Uno Y, Nakamura A, Nishida C, Griffin DK, Tsudzuki M, Ono T, Matsuda Y. Chromosome size-correlated and chromosome size-uncorrelated homogenization of centromeric repetitive sequences in New World quails. Chromosome Research 22: 15-34, 2014. (invited paper in the special issue "Avian Genomics")

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