東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

News Release

【研究成果】花粉・花粉管での転写産物の比較解析--花粉管伸長関連遺伝子は、成熟花粉に転写産物として蓄積--(大阪大・石水研との共同研究; 12/20, 12/21一部修正)

2010年12月21日

 2010年には、自家不和合性(Tsuchimatsu, Suwabe, et al., Isokawa, Osaka et al., Tarutani et al.)、花粉成熟(Park et al.)、ストレス応答(Sakata et al., Oda, Kaneko et al.)、をはじめとする多くの論文発表をしました。これらの原著以外の論文なども。。。

 植物生殖遺伝分野ということから、植物の生殖形質を「遺伝学」の範疇の手法で解析することを目指しています。その中で昔から問題となっていることの1つに、花粉管伸長が起きているときには、転写(transcription)は、起きているのだろうかということです。これまでにも様々な実験手法で、この問題にトライしてきました。今回、大阪大・石水件との共同研究により、ペチュニア花粉、花粉管由来のカスタムcDNA arrayを作成し、成熟花粉、花粉管での遺伝子発現・比較解析を行いました。その結果、花粉管で特異的に発現している遺伝子はなく、これまで指摘されていたとおり、花粉管伸長時には新規な転写は起きず、成熟花粉に蓄積された転写産物を花粉管伸長に利用していることを改めて証明しました。

DSCN4156.JPG この研究成果を共同研究を行い、国際誌Genes Genet. Syst.に発表しました(Ishimizu et al. (2010) Genes Genet. Syst., 85: 259-263)。この論文は、pdfをfreeでdownloadできるので、興味のある方はぜひ、ごらんいただければと思います。

 石水件との共同研究は、Park et al.の論文でも行っており、今後も緊密な共同研究を展開できればと思っています。また、この研究は、特定領域研究「植物ゲノム障壁」における共同研究でもあり、特定領域研究の最終年にこうした研究を発表できたことが何よりと思っています。

 生命科学研究科の HPにも関連記事を掲載しているので、ぜひ、ご覧ください。

  こうした共同研究を通して、植物生殖遺伝分野を開拓していきたと思っております。


わたなべしるす

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