東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

個の力、共生、歴史(7/29)

2013年7月29日 (月)

 サッカーを見ていると、チーム力と個の力というのをいわれる。サッカーは見ているだけでやったこともないので、いわゆる、外野からのコメントにしかならないが。。。ただ、どんな局面でも、チーム力と個の力のバランスは難しい。局所的に個の力が上がっても、全体のチーム力が上がる訳ではない。ただ、ある場面を突破できると、全体として、大きく飛躍できることが研究でもある。何といわれると難しいが、たしかにある。ただ、個の力というのは、周りを見ながら、発揮できれば、チーム力とうまく相互作用できるように思うが、そう簡単ではない。もちろん、個の力を上げるために、個人として、修行というか、個としてがんばることも必要であろう。そうした両者の絶妙なバランスがとれて、組織力が上昇するように思う。

DSCN6430.JPG チーム力と個の力のバランスというわけではないが、2つの異なるものがpositiveに相互作用しているのが、共生であろう。どちらが得する訳でなく、両者が。。。その意味で、バランスが重要である。共生というと、マメ科作物と根瘤菌を思い出す。農学部農学科の出身だからだろう。マメ科のダイズなどにあまり窒素肥料を施肥すると、かえって収量が下がるとか、習ったような気がする。作物の時間か、土壌学か、植物栄養か。。。どれもそうだったような。。。共生というのは、いろいろなところにあるだろうが、「サンゴ」と「褐虫藻」というのも、そうらしい。サンゴのゲノムが解明されたというのは、少し前に見たことがあったが、「褐虫藻」のゲノム解読は、最近らしい。ゲノムがあけば、すぐに全部がという訳にはいかないかもしれないが、出も、近い将来、サンゴが絶滅に瀕しているということへの福音になるのではないだろうか。もちろん、サンゴと褐虫藻という以外の共生に対しても、これまでとは違ったsuggestionができるのではないかと。。。そんな、異なるゲノム間の相互作用、そういえば、渡辺自身が分担で入っている科研費・新学術領域研究「ゲノム・遺伝子相関」。これに対しても、よい発想ができるのではと。。。ちゃんと考えないといけないと、改めて思わされた。

 バランスをとるというのは、難しい。一定の時間が必要になる。細胞の中に、ミトコンドリア、葉緑体が取り込まれて安定するのに、どれくらいの時間がたったのであろうか。核の遺伝子との間で、やりとりがあって、今に至っている。細胞の長い歴史があって、ここまで来たのである。この歴史の最初を見るのは、ちょっとできそうにもない。ただ、その名残は、何らかの形で見えるのであろう。(なにかといわれると。。。専門外なので。。。お許し下さい。)。。。歴史という時間軸から見た時、今やっている教育がどうなるかというのは、ずいぶん後にならないと評価がわからない。ただ、歴史は繰り返すではないが、昔こんなことをやっていたので、だから、今の状況を考えて、これならよいのではというのは、歴史だけ出なくて、実験、研究をやっていてもよくある。その意味では、昔のことを思い出すのは、よいことなのかもしれない。今年は、上野駅ができてから130年。最初に仙台に来た時、東京で新幹線を降りて、山手線で上野まで、そこから、新幹線リレー号で大宮へ。そのあと、東北新幹線で仙台だった。上野駅には、東京駅とは違った趣があった。そんな昔のことを思い出して、新しいことを始めることにしようとおもわせてくれる記事であった。

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 わたなべしるす

 PS. あしたから、大学では、オープンキャンパス。片平には、学部がないので、静かなものであろうが、オープンキャンパスのついでに研究室見学というなら、ぜひに。前にも、HPにも書いておきましたが、7/31の午前中が2件の来客がありますが、それ以外は、freeですので。お待ちしております。今からでも、キャンパスでなくて、研究室の中を見学できますので。

 PS.のPS. 仙台の金曜日の雨もすごかったですが、今日は北陸地方がすごいことに。出前講義でお世話になっている小松高校の近くの川が氾濫しそうとか。。。何事もないことを仙台からは祈るのみです。。。。

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心頭滅却すれば。。。。@古川農試(7/26)

2013年7月26日 (金)

 春には、アブラナの花のサンプリング、交配などで、農繁期がありますが、もう一つの材料のイネはまさにこの時期に幼穂形成がおきて、出穂、受粉、受精が起こり、種子というか、コメができます。ので、この時期も農繁期に突入という。。

DSCN7081.JPG 材料はいろいろなところと共同研究をしており、その1つが、宮城県古川農試毎年、サンプリングに出かけています。人手が足りないこの時期ということもあり、担当のM1・田口さんと渡辺で。。。午前中は、普通の雨降りでしたので、まあ、たいしたことはないだろうと思っていたら、labを出る頃には、ゲリラ豪雨の始まり。。。えええ。と思いながら。ただ、雨雲は西から東に、日本気象協会のHPだと、雨雲は仙台より南より。。。なので、北にある古川ならと思ったのが、甘かったです。。。古川に着くまでも、前が見えなくなるくらい。。。試験場に着いたら、小雨に。。。やっぱり、サンプリグは普通にできるのだと。。

 試験場の方に場所の確認を頂き、いざ、サンプリング。半分終わった頃には、これで無事戻れると思ったのですが、それが甘かったです。。。雨雲は思ったより北東方向に流れたようで。。。あっという間に「ぬれねずみ」。。水田に落ちた訳でもないです。。。もちろん。。そんな中で、心頭滅却すれば。。。ゲリラ豪雨もなんとか。。。というくらい。本当にすごい雨でしたが、県南では、それよりもっとすごかったようです。。。

DSCN7084.JPG いずれ、サンプルは手中に。。。来週から、本格的な農繁期が始まりそうです。。。ということで、サンプルの状態確認に多忙なM1の田口さんにかわって。。。試練と修練の半日でした。ありがとうございました。


 わたなべしるす

 PS. こんな写真しかないのは、もちろん、雨がすごすぎな関係です。。。。


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比較、梅雨、絶滅(7/24)

2013年7月24日 (水)

 実験をすると対象区、つまり、比較対象となるcontrolが必要になる。当たり前のようであるが、これに気がつくまでには、ずいぶんとかかったような気がする。さすがに論文を書くようになってからは、図表のことを気にするので、controlがないとおかしいと気がつくようになり、あらかじめそれを考えて実験できるようになる。もちろん、実験区同士の比較も必要である。そのためには、統計的に処理をして、有意な差があるかを検証することも求められる。今でこそ、Excelでそうした計算もできるらしいが、自分で計算する時には、教養部の頃に使った統計学の本を持ち出して、計算している。論文を書いたはじめの頃に、分離比を計算するために、その本の意味を理解しているから、使いやすいのかもしれない。本当は、もっと簡便で使いやすいものがあるのかもしれない。それこそ、比較して、新しいものへ脱却することも必要と思うが、そうは簡単ではない。比較といえば、インドネシア沖とタンザニア沖のシーラカンスのゲノムが決まって、比較すると、物理的に離れているのに、0.18%としか違わないとか。。。比較して初めてわかったとはいえ、不思議なことである。。。

 仙台は未だに梅雨明けしない。残っているのは、北陸、東北地方だけ。今日も雨が降っている。。。気温が何とか、20oCを越えているので、低温注意報が出ないで、冷害にはならないだろうと少しほっとしているが、今がちょうど、幼穂形成期、そのあと、減数分裂期、受粉のステージにかけて、低温に弱くなる。お盆が過ぎるまで、安心はできない。その意味からすると、本当はその年のお米の収穫が終わって、一段落なのだろう。実験も同じで、最後の最後まで気を許さないというか、ほぼ終わったところが、半分終わったものだと、指導してもらった教授の先生にいわれた。確かに、ほぼ終わったと思える90%くらいまでにかける時間・気合いと、最後のツメをする気合いと時間。同じくらいなのかもしれない。そういえば、昔のことわざに、「◎△は、下駄を履くまで。。。。」というのがあったような。下駄を見つけて、はなおがきついと、簡単に履けないからそう言うのだろうか。。。。というより、下駄を履いて、浴衣をきてという季節になってほしい。。

DSCN6628.JPG シーラカンスは絶滅危惧種なのか、もっと絶滅しそうなのか。。。大昔の生きた化石といわれるくらいなので、昔のままどこかでひっそり生きていた。。。(たぶん。。。)。としたら、海の中には、そんな不思議なものが、。。ジャングルの中にも。という気がする。子供の頃に、海水をどこかに吸い上げて、持ち上げることができたら、深海に恐竜がいるのではと思っていた。もちろん、そんなことできないし、。。。ただ、できたら、おもしろい。植物と違って動くので、局所的に水をなくせばよいというのでなくて、なので。。。海を動くといえば、マグロ。速いらしい。そのゲノムが明らかになった。クロマグロも、資源は枯渇している。同じようにウナギもそうである。土用の丑の日にウナギがなくならないように、また、マグロの刺身が食べることができるように、ゲノム情報をこれまで以上に利活用してほしい。。。もちろん、自分たちの研究している、ハクサイのゲノムも十分に活かして、。。と思う訳で。。。なくなってから、その大切さを感じることは、生き物だけでなく、書類だったり、日常の生活にたくさんある。。。しまったと。そうならないうちに。。そう思わないようにするためにも。。。なくさないようにしないと。。。


 わたなべしるす

 PS. 本題とは関係ないが、「仙台市青葉区川内亀岡北裏丁」でクマを発見とか。。。片平からは少しあるが、東北大の敷地の近くではないのかな。。。。

 PS.のPS. 先日までは、河北新報に記事を掲載していましたが、去年は、愛媛新聞へのコラムその9/9(日)の時に、甲子園でのプレーでとてもトリッキーなことが起きたと。それは、昔読んだ、ドカベンにもあったと。。。そのプレーとは違いますが、審判が落とした、新しいボールで。。という、これも、ドカベンをよんでいる方なら、そのシーンを思い出されるのでは。。。(確か、2年生春決勝の対土佐丸戦)。。そんなことが、現実に起きたとか。。。マンガだからといって、そんなことは起きないとは思わないようにしないと。。。何が起きるかわからない、そんな世の中なのかもしれません。。。

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うなぎで元気!

2013年7月22日 (月)

こんにちは、M1の辺本です。

今日は7月22日、土用の丑の日ですね。土用の丑の日と言えば・・・鰻を食べる日!
実は私たち・・・一足早く(7月18日)鰻を食べてきました。
なかなか行くことができないであろう雰囲気の良すぎるいわま亭で・・・誠に美味でした。

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130718-2.jpegのサムネール画像

あ~幸せ。なべさん、ありがとうございました。

さて、土用の丑の日
土用って、土曜のことではないの?幼い頃こう考えていた人は私だけではないはず。
土用は、全てのものが木、火、土、金、水という5つの元素から成っているという中国の五行思想からきています。
春=木、夏=火、秋=金、冬=水というように、季節ごとにそれぞれの元素を当てはめていくと、「土」があまる・・・
じゃあ、季節の変わり目ってことにしよう、となったのだそうです。
よって土用とは、季節の変わり目を指し、立夏、立秋、立冬、立春の直前約18日間を指します。
ちょうど体調を崩しやすい時期ですね。

次に丑の日とは、十二支の干支が丑の日ということです。
子・丑・寅・卯・辰・巳・午・未・申・酉・戌・亥・・・
最近では、今年の干支は○○といったようにしか使われなくなってしまいましたが、
昔は日、そして時間にも適用されていました。
それにしても何故、丑の日なのか・・・それは、江戸時代に遡ります。
夏場は暑くて食欲失せますよね。今のように冷房など無かった時代なら尚更でしょう。
そんな中、鰻の売り上げ不振に悩んだ鰻屋が「鰻が売れなくて困るよー」と平賀源内というお方に相談したそうです。
すると、源内は「本日、土用丑の日」というキャッチコピーを考案し、鰻屋の前に張り紙したのです。
その広告のおかげと、それに加えて「丑の日」と「鰻」の語呂が良かったのもあり、
夏場にも関わらず鰻屋が商売繁盛になったのだとか。
これが「土用の丑の日は鰻」が習慣になったきっかけだと言われています。
(※ちなみに土用の丑の日に関する説は、他にもあるそうです。)

ということで、土用の丑の日は季節の変わり目である18日間の丑の日。特に夏の土用の丑の日のことを言います。
夏バテしやすい時期に、鰻を食べてスタミナをつけましょうということです。
地方によっては鰻に限らず、「う」の付く食べ物をたべる習慣があるのだとか。
うどん、梅干し、ウニ・・・などでしょうか?あれ、「う」から始まる食べ物ってなかなか無いですね。
ここ最近は鰻の価格が高騰し、高級食品となりつつあるので、土用の丑の日にうどんを食べることもアリなのですよ。
スタミナを付けることが目的なのですから。とあるニュースではチョコパンや、甘酒などが紹介されていました。
土用の丑の日に食べるものが、変わっていきそうですね。

私にとっては初めての仙台の夏。
夏バテしないように、食事、睡眠を十分に摂りたいと思います。
軽く運動もしたいなーと思う今日この頃。そう言えば・・・運動ですが、先週走りました。

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あれ、観戦なのに何故?
はて、何故だろうか・・・翌日、全身筋肉痛でした。なべさんは大丈夫だったのだろうか。

最後に。
土用の丑の日ですが、18日間で十二支がまわると言うことは、土用の期間に丑の日が2回来ることだってあるのです。
まさに今年の夏がそうです!土用の丑の日が2回やってきます!
7月22日(一の丑)と、8月3日(二の丑)。
二の丑の時は、うどんを食べようかしら。


M1 なべ

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【出前講義】宮城県仙台第一高等学校・生物部・SSH活動他「イネ・アブラナ多様性研究」研究指導(7/19)

2013年7月19日 (金)

 今週は月曜日が「海の日」でお休みだった関係もあり、あっという間に週末になった気がします。また、前線が停滞していて、しのぎよいというより、少し寒いくらいだったので、体調管理も、まずまずだったからもしれません。いずれ、金曜日の夕方なのだと、気がついたくらいですので。さて、週末は、前から、相談を受けていた宮城県仙台第一高等学校での研究指導というか、打合せというか。。。6/6に講義があり、伺って以来。こちらも、6月は、愛媛、香川、大阪などでの出前講義があり。。7月に入ってからは、天気が余りよくなく。。そんなで、この時期になってしまいました。

 最初に、「科学者の卵養成講座」のエクステンドコースについて。2名の3年生が、やりたいと。。昨年も、埼玉県立浦和第一女子高等学校で4名の方がトライされて。。。昨年は少し離れていたので、高校でもできるないようということで。今回は、大学までとても近いので、時間をこちらと調整して、アブラナを使ったおもしろい実験ができればということになりました。中身については。。。この席では。。。ということで。また、発表する機会もあると思いますので。聞いてしまうと、何だとなりかねませんので。

DSCN6991.JPG そのあと、これも懸案の「イネ多様性研究」について。一部の品種では出穂が始まっており、他の品種でもずいぶん、止め葉が出て、穂孕期になっているんだなというのを、イネをさわりながら、実感できましたし、研究をやっている生徒さんにも理解してもらえたのではないかと。さらに、現状の写真を撮るためにどうすればよいかということを、昔、学部生だった頃に、D3の先輩に、イネの草型を画像解析するためにやっていた方法を思い出して。。。アップの写真ではないですが、それなりに、記録としては使えるでしょうし。また、出穂日、葉数、分げつ数などで、イネ全体は理解できるのではと。。。たくさんの品種がありますが、ぜひ、しっかりまとめて下さい。イネが持っている多様性がどれくらいすごいかということを実感できると思いますので。観察することは、サイエンスをすることの第一歩ですので。。。また、梅雨寒が続きますが、最高気温は、25oC前後でこのあとも推移すると思いますので、何とか、稔実率はある程度のところで確保できるのではと思いますので。

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DSCN6990.JPG 最後は、SSHの課題研究の指導。ここは、2年生全員が課題研究にトライされると。。。とても大変なことですが、やったことは5年後、10年後にきっとあのことがよかったという日が来ますので、大変と思いますが、がんばって下さい。

DSCN6993.JPG 最後になりましたが、出前講義を設定頂きました小松原先生にお礼申し上げます。ありがとうございました。明日から夏休みですが、今後もよりよいコラボができればと思います。よろしくお願いいたします。


 わたなべしるす

 PS. 今日のというより、これまでの人生の40何年間、何でこんなことに気がつかなったのだろうということにぶつかりました。余りの衝撃で。。。。しばらく口が開いたままふさがらないというのは。このことだと。。。。それくらいすごいことでした。

DSCN6992.JPG PS.のPS. 昨日、カンキツを頂きました。昔であれば、ナツダイダイという、とても酸っぱい、カンキツしかなかったのが、今のはむきやすいですし、とてもジューシーで、酸味も弱く。。。品種名がわからないのが。。。それでも農学科の卒業かといわれそうですが、最近のカンキツの品種育成は、爆発的なものがあるので。。。知らないものも多くなりました。

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