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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2013年4月の記事を表示しています

アウトリーチ活動

2013年4月6日(土)、国立遺伝学研究所で一般公開がおこなわれました。これは毎年行われている行事で、遺伝研内の桜のコレクションと共に各研究室の研究紹介を行います。今回は爆弾低気圧の予報もありましたが、幸い開催中はひどい雨にも降られず、たくさんの方々が来て下さいました。私が研究を行っている哺乳動物遺伝研究室では、「モデル生物としてのマウス」というタイトルで研究紹介を行いました。遺伝研で維持されている世界中のマウス亜種のコレクションを展示し、皆さん興味深そうにマウスを観察したり、話を聞いていって下さいました。

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Plant Cell Physiology誌 論文賞を授与頂きました

3月21-23日に岡山大学にて行われた第54回日本植物生理学会年会におきまして、Plant Cell Physiology誌 論文賞を授与頂きました。


Ohnishi T., Yoshino M, Yamakawa H, Kinoshita T. The biotron breeding system: a rapid and reliable procedure for genetic studies and breeding in rice. Plant Cell Physiol. 52: 1249-57. (2011) http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/21622665


これまでは、室内栽培にて人工交配などを行うことが難しかったイネですが、人工気象器をファインチューニングすることなどにより問題を解決した論文です。Life cycleが長い、スペースがかさむ等の問題の多くを解決し、シロイヌナズナと比較可能なペースで研究することを可能にする方法論として高く評価されました。写真は受賞式での筆頭著者の大西孝幸さん(JSPS博士研究員)と学会長の町田先生です。



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論文が掲載されました! Planta (2013) 237: 1001-1013

 

村井班では、核ゲノムとミトコンドリアゲノムの「ゲノム・遺伝子相関」の研究を行っています。植物では、近縁野生種を母親に用い、栽培種を戻し交配親に用いた連続戻し交配によって、野生種の細胞質ゲノム(ミトコンドリアゲノム)をもつ細胞質置換系統が作出できます。近縁野生種Aegilops crassa 細胞質を導入した細胞質置換コムギ系統では、雄ずいが雌ずい化するpistillodyと呼ばれる現象が起こります。これまでの研究から、pistillodyは、雄ずいの形成に関与するMADSボックス遺伝子の発現パターンが変化することが直接的な原因であることが明らかになっています(Hama et al. 2004)。また、ミトコンドリア原因遺伝子の候補として、新規のorf260 を同定しました(Zhu et al. 2008)。この核遺伝子とミトコンドリア遺伝子の間の「遺伝子相関」機構はどのようなものでしょうか?今回、マイクロアレイ解析により、pistillodyを示す幼穂で特異的に発現する新規のカルモジュリン結合タンパク質を同定しました。近年、哺乳類細胞の研究から、ミトコンドリアゲノムから核ゲノムへ何らかのシグナルが伝達され、核遺伝子の発現が制御されるミトコンドリア・レトログレード・シグナル(MRS)の存在が明らかとなってきました。MRSでは、ミトコンドリアからのカルシウムイオン・シグナルが重要な役割を担うと考えられています。カルモジュリンはカルシウムイオン・シグナル系で働く重要な物質です。今回の発見は、動物と植物で共通のMRS機構が存在することを示唆します。

 

Yamamoto et al-Planta2013.pdf

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低分子RNAは、遺伝子発現やクロマチン制御に重要な分子として着目されていますが、野外における近縁生物種間での発現プロファイルの違いについてはあまり多くは分かっていません。このたび、北野班は、北海道東部に同所的に分布している日本海と太平洋のイトヨについて、繁殖行動中の低分子RNAのプロファイルを決定しました。

その結果、miRNAやpiRNAで発現量の異なっている分子が多数見つかりました。特に、piRNAに関しては、ゲノム中の繰り返し配列に相同な分子も見つかり、脳内でトランスポゾン等の発現を制御している可能性も示唆されました。今後は、これらの低分子RNAが、種間の違いや雑種異常に果たす役割を明らかにして行きます。

Kitano, J., Yoshida, K., and Suzuki, Y. (2013)
BMC Genomics 14: 214

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