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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2013年5月の記事を表示しています

山元班の研究成果が高等学校副教材に採用されました

第一学習社が出版する高等学校生物の副教材、『スクエア 最新図説生物』に、山元らが長年にわたり追求してきたキイロショウジョウバエのfruitless (satori) 突然変異体の研究が採用されました。2013310日発行の上掲書の222ページ、"17 生得的行動と遺伝子"の項目で"2 遺伝子に支配される性行動"として掲載されています。fruitless突然変異体の雄が示す同性間求愛と、mAL介在ニューロンの形態的性差を示した二葉の写真は、山元と小金澤雅之准教授の提供によるものです。今回の『スクエア 最新図説生物』掲載により、高等学校生物の副教材や教師用資料としての採択は3社となり、本研究の社会的認知が一層進むものと思われます。


スクエア最新図説生物.jpg

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Asia-Pacific Drosophila Conference にて発表しました

5月13日-16日にソウル大学にて開催された The 2nd Asia-Pacific Drosophila Conference の中の Gene Regulation, Genome and Evolution のセッション にて高橋が下記の口頭発表を行いました。

"Genome-wide expression analyses using allelic samples from Drosophila Genomic Resource Panel constructed from a natural population of Drosophila melanogaster"

by Naoki Osada, Ryutaro Miyagi, Aya Takahashi

Walter Gehring (U Basel, Switzerland) を筆頭に多くの著名なショウジョウバエ研究者が招待されており、第一回に引き続き、レベルの高い会でした。また、身近なアジアの都市で海外の研究者に合うことができとても有意義でした。[大会HP: http://apdrc.org/]



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アウトリーチ活動

5 月 18-19 日に東京工業大学すずかけ台キャンパスにて行われたオープンキャンパス•すずかけ祭において、「卵の中を覗いてみよう」というタイトルで、一般向けの研究室展示企画を行いました。


卵の中で発生するニワトリ胚をはじめて観て顕微鏡から離れられなくなってしまった子供たちや、緑色に光るニワトリ胚を観て感嘆の声をあげる大人たちの姿があちらこちらで見られる楽しいイベントとなりました。

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木原記念財団学術賞を授与頂きました

 さる5月15日、木原生物学研究所(横浜市立大)において行われた授与式にて、応用科学賞を受賞された少数性生物学・新学術領域代表の永井健治先生と共に、第21回木原記念財団学術賞を授与頂きました。
 ゲノム・遺伝子相関の本新学術領域の研究にも多大な影響を与えた故木原均先生を記念した学術賞を頂けたことは、ひとえに関係の先生方のご指導と励ましのおかげであります。あらためてここにお礼を申し上げます。


 受賞課題は「植物生殖過程におけるエピゲノム制御と生殖隔離機構」です。ゲノム分析で有名な故木原均先生は、多くの種間交雑を行い胚乳における生殖隔離現象についても記載されています。受賞課題では、胚乳や植物生殖細胞でひきおこされるエピゲノム制御機構と古典遺伝学で明らかにされている生殖隔離現象に関連があることを示したことが評価されました。


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トミヨ隠蔽種間における生態的分化とその遺伝基盤の一端を解明

トゲウオ科魚類は、生息場所によって外見や行動が種間や集団間で大きく異なっていることから、現在、このトゲウオの持つ「多様性」が大きく注目されており、生態学や進化生物学の最前線のモデル生物として世界中で活発に研究されています。今回、北野班では、石川麻乃研究員(学術振興会)を中心に、北海道東部に生息するトミヨ隠蔽種(外見が似ていて容易に区分できない種)について、隠蔽種間の生殖的隔離、生態的分化、生理的分化等について解析を行いました。

エゾトミヨ、淡水トミヨ、汽水トミヨの隠蔽3種は遺伝的に明らかに異なっており、同所生息域でも淡水トミヨと汽水トミヨ間の雑種のみがごく稀に採集される程度でした。これら3種は河川の上流から下流にかけて生息域をうまく住み分けて共存しており、摂餌器官や浸透圧耐性能も大きく異ななっていました。一方で、鱗板(体の側面の骨化組織)の変異は、単純な上流-下流勾配にそった変異はみられず、また、その遺伝基盤は近縁のイトヨ属とは異なる遺伝子で決定されていることが明らかになりました。イトヨ属では、Eda遺伝子が鱗板をコントロールしていることが既に知られていますが、トミヨ属ではEda遺伝型と鱗板表現型に相関は見られませんでした。

これらの成果は、トミヨ属とイトヨ属の表現型進化の遺伝基盤が異なっていることを示しており、トミヨ属は、表現型進化の遺伝基盤の一般性を理解するためにイトヨと並び貴重な研究材料となることが示されました。

これらの成果は、ヨーロッパの進化学会誌Journal of Evolutionary Biologyに発表されました。

Ishikawa, A., Takeuchi, N., Kusakabe, M., Kume, M., Mori, S., Takahashi, H., and Kitano, J. (2013)
DOI: 10.1111/jeb.12146

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