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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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ゲノム遺伝子相関主催の国際シンポジウムを開催しました

2013年5月7日にゲノム遺伝子相関主催の国際シンポジウムを下記のプログラムで開催しました。性染色体進化で有名なテキサス大学オースチン校のカークパトリック教授とフレッドハッチンソン癌研究所のパイケル教授を基調講演者として招待し、その他にも性染色体進化の分野で活発に研究されている国内外の研究者に講演して頂きました。レベルの高い講演ばかりで、また、聴衆からの活発な議論もあり大変盛り上がりました。

今回は、小さめの部屋で自由に発言・議論する雰囲気を作り、活発な議論や新しい共同研究の提案なども持ち上がり成功させることができました。講演者や参加者の方ありがとうございました。

13:00-13:50: Mark Kirkpatrick (The University of Texas Austin)
13:50-14:40: Katie Peichel (Fred Hutchinson Cancer Research Center)
(Break)
14:50-15:15: Yusuke Takehana and Kiyoshi Naruse (National Institute for Basic Biology)
15:15-15:40: Kiyoshi Kikuchi (The University of Tokyo)
15:40-16:05: Kohta Yoshida (National Institute of Genetics)
16:05-16:30: Mark Ravinet (Queen's University Belfast)

16:30-18:00: General discussion and chat (social hours)
19:00-20:30: Party

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 連携研究者の榊原 恵子博士、基礎生物学研究所の安藤 沙友里氏、米国University of CaliforniaHoichong Karen Yip博士、玉田、基礎生物学研究所の日渡 祐二博士、村田 隆博士、広島大学の出口 博則博士、連携研究者の長谷部 光泰博士、オーストラリアMonash UniversityJohn L. Bowman博士によるOriginal paper "KNOX2 genes regulate the haploid to diploid morphological transition in land plants" Science誌の31日号にて発表されました。陸上植物進化の特徴は、胞子体世代の延長と胞子体の複雑化・巨大化であると考えられています。榊原博士らは、ホメオボックスタンパク質をコードするclass 2 KNOTTED1-LIKE HOMEOBOX (KNOX2) 遺伝子が基部陸上植物ヒメツリガネゴケにおいて胞子体の発生に不可欠であること、さらに胞子体世代において配偶体世代の発生プログラムの抑制に機能することを明らかにしました。以前、榊原博士らの研究によって、KNOX2遺伝子のパラログclass 1 KNOX (KNOX1) 遺伝子がヒメツリガネゴケにおいて、シロイヌナズナなど被子植物と同様に、胞子体における分裂組織の活性の維持に機能していることが明らかにされています (Sakakibara et al., 2008, Evol Dev) 。緑藻類クラミドモナスにKNOX遺伝子は1つしかないことから、KNOX遺伝子の遺伝子重複(KNOX1KNOX2)とそれぞれの遺伝子の新機能獲得(胞子体分裂組織の活性維持と配偶体世代の発生プログラム抑制)が、陸上植物の進化過程における胞子体世代の延長に不可欠であった可能性が示唆されました。

 

Keiko Sakakibara, Sayuri Ando, Hoichong Karen Yip, Yosuke Tamada, Yuji Hiwatashi, Takashi Murata, Hironori Deguchi, Mitsuyasu Hasebe, and John L. Bowman. (2013) KNOX2 genes regulate the haploid to diploid morphological transition in land plants. Science 339: 1067-1070.

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総説「コケ植物のエボデボから見えてきた胞子体の複雑化」

 連携研究者の榊原 恵子博士による総説「コケ植物のエボデボから見えてきた胞子体の複雑化」が「生物の科学 遺伝」誌の20131月号『あんな形,こんなできかた―エボデボ研究最前線[植物篇]』にて発表されました。緑色植物、特に陸上植物の進化発生学(エボデボ)研究について豊富な実例をもとに概説されています。特に、緑藻類クラミドモナス、基部陸上植物ヒメツリガネゴケ、被子植物シロイヌナズナにおける発生遺伝子の機能比較によって、陸上植物進化におけるもっとも顕著な特徴であると考えられる胞子体世代の延長と胞子体の複雑化・巨大化がどのように起きたのかについての仮説を提唱しています。

 

榊原 恵子 (2013) 「コケ植物のエボデボから見えてきた胞子体の複雑化」、生物の科学 遺伝1月号『あんな形,こんなできかた―エボデボ研究最前線[植物篇]』、39-44

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第7回NIBBバイオイメージングフォーラム「顕微鏡の新機軸」開催

 2012112627日、基礎生物学研究所の亀井 保博博士、野中 茂紀博士、国立天文台の服部 雅之博士、玉田、基礎生物学研究所の檜山 武史博士がオーガナイズした第7NIBBバイオイメージングフォーラム「顕微鏡の新機軸」が基礎生物学研究所(岡崎市)にて開催されました。天文学分野において開発された「補償光学」を顕微鏡観察に応用し、生物試料そのものによる歪みを補正して回折限界のライブイメージングを行う補償光学顕微鏡法と、光によって神経細胞の活動を制御するオプトジェネティクスという二つの「顕微鏡の新機軸」を中心に、15名の演者にバイオイメージング領域の最新の研究について講演していただきました。国内外の研究者・企業の方を含め70人以上の参加者があり、講演後は活発な議論が行われました。


http://www.nibb.ac.jp/biforum/7th/

 

 本領域からは、連携研究者の木村 宏博士、玉田の講演を含む以下四題の講演がありました。

 

木村 宏(大阪大・生命機能)

Opto-epigenetics(オプトエピジェネティクス)』の創生へ向けて

 

服部 雅之1、大屋 1、早野 1、玉田 洋介2、亀井 保博3、村田 2、長谷部 光泰21国立天文台・ハワイ観測所、2基生研・生物進化、3基生研・光学解析室)

補償光学顕微鏡の試作と初期的な実験結果 -植物細胞の観察に向けて-

 

大屋 1、服部 雅之1、早野 1、玉田 洋介2、村田 2、亀井 保博31国立天文台・ハワイ観測所、2基生研・生物進化、3基生研・光学解析室)

補償光学装置と大気ゆらぎについて

 

玉田 洋介1、檜山 武史21基生研・生物進化、2基生研・統合神経)

自然科学研究機構 若手研究者による分野間連携研究プロジェクトの概要


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 ドイツLudwig-Maximilians-Universität MünchenAnja Eberhart博士、連携研究者の木村 宏博士、Ludwig-Maximilians-Universität MünchenHeinrich Leonhardt博士、Boris Joffe博士、Irina Solovei博士によるOriginal paper "Reliable detection of epigenetic histone marks and nuclear proteins in tissue cryosections" Chromosome Research誌の201210月号にて発表されました。動物組織の凍結切片を用いた信頼できる抗体染色法を提案しました。具体的には、効率的で再現性の高い抗体染色のためには、抗原ごとにホルムアルデヒドを用いた固定時間と抗原賦活化処理時間を最適化する必要があることがわかりました。植物細胞核におけるヒストン修飾の抗体染色法にも応用できると考えられます。


Eberhart A, Kimura H, Leonhardt H, Joffe B, and Solovei I. (2012) Reliable detection of epigenetic histone marks and nuclear proteins in tissue cryosections. Chromosome Res 20: 849-858.

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