ナス科植物は、S遺伝子座にコードされた雌ずい因子S-RNaseと多数の花粉因子群SLFsとの相互作用を介して自家不和合性反応を制御していることが明らかにされてきました。雌ずいのS-RNaseは伸長してきた花粉管のRNAを分解する細胞毒として機能しているのに対し、花粉管内のF-boxタンパク質群のSLFsは侵入してきた非自己のS-RNaseを何らかの方法で無毒化していると推定されてきましたが、その詳細は不明のままでした。本研究では、まず共沈実験により、SLFが花粉内で、SSK1, CUL1-P, RBX1と典型的なSCF複合体を形成していることを明らかにしました。また、花粉より精製したSCFSLFが、E1, E2共存下で、特定の非自己S-RNaseをin vitroでポリユビキチン化することを証明しました。さらにポリユビキチン化された非自己S-RNaseが、花粉抽出液中でプロテアソーム依存的に速やかに分解されることを見出しました。本研究成果は、認識されたS-RNaseがポチユビキチン化されプロテアソーム系で分解されるということを強く示唆すると共に、我々が提唱するSLFsの協調的非自己S-RNase認識モデルをさらに支持するものとなりました。
Ubiquitin-proteasome-mediated degradation of S-RNase in a solanaceous cross-compatibility reaction
Entani, T., Kubo, K., Isogai, S., Fukao, Y., Shirakawa, M., Isogai, A., Takayama, S.
Plant J. (2014) 78, 1014-1021.
http://www.ncbi.nlm.nih.gov/pubmed/24689760