花芽分化の決定因子・フロリゲンが植物の幹細胞組織・茎頂メリステムに分布する様子を時空間的に詳細に明らかにし、同時にフロリゲンの下流遺伝子の活性化もイメージングすることに成功しました。さらにフロリゲンが生殖生長の開始にあたってトランスポゾンの発現を抑制することを明らかにしました。
これらの結果は、フロリゲンがトランスポゾンをサイレンシングさせることにより、生殖生長の開始にあたってゲノムの保護に貢献している可能性を示唆しています。また、トランスポゾンのサイレンシングがエピジェネティックな遺伝子発現の制御を介して生殖生長の進行をポジティブに制御する可能性も考えられます。これらを総合することで、生殖生長とゲノム機能制御の新しい研究展開へ繋げたいと考えています。
本研究は名城大学・寺田理枝教授、奈良先端大・植物グローバル教育プロジェクト・倉田哲也特任准教授のグループとの共同研究です。
Tamaki, S., *Tsuji, H.(*Corresponding Author), Matsumoto, A., Fujita, A., Shimatani, Z., Terada, R., Sakamoto, T., Kurata, T., Shimamoto, K. (2015) FT-like proteins induce transposon silencing in the shoot apex during floral induction in rice. Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 112: 901-911.