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集団生活の経験と遺伝的素因の両者によって同性への求愛が起こる

研究成果


 キイロショウジョウバエの雄にとって、前肢で雌の腹部を触ってフェロモンを感じることが求愛開始の引き金です。それに続いて、雌の動きが視覚的な刺激となって求愛が持続します。山元班の古波津創と山元は、チャンネルロドプシンを介して求愛行動解発ニューロンを直接刺激することによりフェロモン検知のプロセスを経ずに求愛を開始させ、また雌の代わりにディスプレイ上を動く光点を視覚刺激として雄に提示することにより、野生型の雄に求愛を継続させることに成功しました。興味深いことに、同性愛行動を示す突然変異体として知られるsatoriの雄は、チャンネルロドプシンを介した刺激を与えずとも、動く光の点に対して求愛しました。ところが、羽化直後から単独で飼ったsatoriの雄はこの非特異的な光点への求愛を示さず、また雄に対する求愛をすることもなくなったのです。さらに、satori雄に見られるこの集団生活依存的な視覚依存的求愛が、求愛行動解発ニューロンの視覚刺激に対する鋭敏化に起因する可能性が、ニューロン活動のCa2+イメージングによって示されました。この研究は、遺伝的素因と環境刺激の相互作用によって特定のニューロンの応答特性が規定され、その結果、求愛という社会行動が発現することを示したものとして注目されます。


出典:Kohatsu, S and Yamamoto, D (2015) Visually induced initiation of Drosophila innate courtship-like following pursuit is mediated by central excitatory state. Nature Communications | 6:6457 | DOI: 10.1038/ncomms7457


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