HOME > 研究経過報告 > Staurotypus属のカメのXY型性染色体が鳥類のZW染色体と相同であり、同じ起源をもつにもかかわらず異なる性決定様式が獲得されたことを明らかにしました

研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

「研究経過報告」内を検索

Staurotypus属のカメのXY型性染色体が鳥類のZW染色体と相同であり、同じ起源をもつにもかかわらず異なる性決定様式が獲得されたことを明らかにしました

Staurotypus属のスジオオニオイガメ(S. triporcatus)とサルヴィンオオニオイガメ(S. salvinii)はXY型の性染色体をもち、X-Y染色体間ではrRNA遺伝子のコピー数に違い見られるだけで、性染色体の構造的な分化はほとんど起こっていません。これら2種のXY染色体の比較染色体マッピングを行った結果、16個のニワトリZ染色体連鎖遺伝子はすべてXY染色体にマップされ、X-Y染色体間で遺伝子オーダーの違いは見られませんでした。また、この遺伝子オーダーは、鳥類の祖先型の性染色体を保有しているダチョウのZ染色体のそれらと同じでした。これらの結果から、Staurotypus属のカメと鳥類の性染色体は共通祖先の同じ常染色体対から分化したにもかかわらず、性染色体の進化過程で異なる性決定様式を獲得したこと、そしてStaurotypus属のX染色体とダチョウのZ染色体ではともに構造変化がほとんど起こっておらず、祖先型の染色体構造を保持していることがわかりました。また、Staurotypus属のY染色体は、性決定遺伝子が獲得された後ほとんど分化が進んでいないことが明らかとなりました。本研究成果は、脊椎動物における性染色体の起源とその進化過程を明らかにするうえで、重要な情報を提供しています。 
 
 
Kawagoshi T, Nishida C, Matsuda Y. The Staurotypus turtles and Aves have the same origin of sex chromosomes but evolved different types of XY and ZW heterogametic sex determination. PLoS One 9 (8): e105315, 2014.

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関