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【基生研】玉田班の記事を表示しています

 ドイツLudwig-Maximilians-Universität MünchenAnja Eberhart博士、連携研究者の木村 宏博士、Ludwig-Maximilians-Universität MünchenHeinrich Leonhardt博士、Boris Joffe博士、Irina Solovei博士によるOriginal paper "Reliable detection of epigenetic histone marks and nuclear proteins in tissue cryosections" Chromosome Research誌の201210月号にて発表されました。動物組織の凍結切片を用いた信頼できる抗体染色法を提案しました。具体的には、効率的で再現性の高い抗体染色のためには、抗原ごとにホルムアルデヒドを用いた固定時間と抗原賦活化処理時間を最適化する必要があることがわかりました。植物細胞核におけるヒストン修飾の抗体染色法にも応用できると考えられます。


Eberhart A, Kimura H, Leonhardt H, Joffe B, and Solovei I. (2012) Reliable detection of epigenetic histone marks and nuclear proteins in tissue cryosections. Chromosome Res 20: 849-858.

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 鳥取大学の首浦 武作志氏、理化学研究所の岡野 正樹博士、連携研究者の木村 宏博士、鳥取大学の多田 政子博士によるOriginal paper "Heterochromatin restricts 5mC to 5hmC conversion to euchromatin" Chromosome Research誌の201210月号にて発表されました。胚性幹細胞(ES細胞)のM期染色体におけるヒドロキシメチル化シトシンの領域はH3K4me2me3によって標識されるユークロマチン領域と一致しており、H3K9me3などによって標識されるヘテロクロマチン領域とは一致しませんでした。さらに、しばしば姉妹染色体の片方だけにヒドロキシメチル化シトシンが観察されたことから、通常のメチル化シトシンと異なり、ヒドロキシメチル化シトシンはDNA複製時に娘鎖には必ずしも維持されないことが示唆されました。それにもかかわらず、ヒドロキシメチル化が姉妹染色体のどちらにも観察されない常染色体はほとんど観察されませんでした。以上の結果は、間期において活発に新規シトシンメチル化が起きており、さらにユークロマチン領域ではTetタンパク質によってメチル化シトシンが活発にヒドロキシメチル化シトシンに変換されていることを示唆しています。

 

Kubiura M, Okano M, Kimura H, Kawamura F, and Tada M. (2012) Heterochromatin restricts 5mC to 5hmC conversion to euchromatin. Chromosome Res 20:837-848.

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総説「内在性タンパク質翻訳後修飾の生細胞計測」

 連携研究者の木村 宏博士、大阪大学の佐藤 優子博士、林 陽子博士による総説「内在性タンパク質翻訳後修飾の生細胞計測」が「生物物理」誌の201210月号にて発表されました。ヒストン修飾を含むタンパク質の翻訳後修飾を、木村博士らが最近開発したFabFragment, antigen-binding、抗原結合断片)を用いるFabLEM (Fab-based live endogenous modification labeling) で検出する方法について紹介されています。タンパク質機能を直接検出する手法は極めて限られており、FabLEMは今後タンパク質修飾のイメージングを介したタンパク質機能解析の有用な手法になると期待されます。

 

木村 宏、佐藤 優子、林 陽子 (2012) 「内在性タンパク質翻訳後修飾の生細胞計測」、生物物理 52: 234-235.

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 2012915日、広島大学の嶋村 正樹博士、連携研究者の榊原 恵子博士がオーガナイズしたシンポジウム「コケ植物研究の新展開~植物進化のパラレルワールドへようこそ~」が日本植物学会第76回大会(兵庫県立大学)にて開催されました。約80人の参加があり、コケ植物研究について活発な議論がなされました。


1.パラレルワールドの植物形態学
嶋村 正樹(広島大・院・理・生物科学)

2.ゼニゴケで探るコケ植物の光応答と発生制御
○石崎 公庸, 河内 孝之(京都大・院・生命科学)

3.フタバネゼニゴケが紐解く植物-微生物間相互作用の進化の歴史~防御と共生の起源を探る~
中川 知己(明治大・研究知財戦略機構)

4.銅苔の生き様からみるコケ植物の無性生殖を駆使した生存戦略の多様性
○野村 俊尚1, 榊原 均1,馳澤 盛一郎2(1理研・植物科学研究センター, 2東京大・院・新領域)

5.南極の湖沼に生きるコケ坊主の正体とその起源を追って
○加藤 健吾1, 伊村 智2,神田 啓史2(1総研大・極域科学, 2極地研)

6.ヒメツリガネゴケ研究からみえてきた陸上植物の茎葉進化
榊原 恵子(広島大・院・理・生物科学)


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出張授業「DNAに運命は書き込まれているのか」

 2012712日、岡崎市立福岡中学校において「DNAに運命は書き込まれているのか」と題した出張授業を玉田が行いました。対象は、中学二、三年生の生徒たちおよそ300人で、セントラルドグマやヒトの胚発生過程を概説し、次世代シーケンサーなどの最新技術によってどのように生物学研究の現場が変わりつつあるかを紹介すると同時に、ゲノム配列によって生物の設計がどのくらい決められているのかについて、いくつかエピジェネティクス研究を紹介することで一緒に考えました。授業終了後は、10人前後の学生さんから質問があり、中には「遺伝子のある(タンパク質をコードする)配列以外のゲノム配列は何をしているのか。もしかして、その配列によって、どこで遺伝子が出るのか(転写されるのか)決まっているのではないのか」といった鋭い質問もありました。

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