東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

母集団、水面下、ササニシキ(5/8)

2014年5月 8日 (木)

 遺伝学の実験をするときに、一体、何個体を使って実験すればよいのか、そもそも母集団をどれくらいにしたら、目的の遺伝子をマップできるのかなど、母集団というのは、遺伝学の実験に限らず、重要な問題である。母集団が大きくなれば、マップする精度は上昇するが、その代わりそれだけの個体、植物体を維持・管理しなくてはいけない。。。結構大変な問題である。逆に小さくすれば、マップできた位置が本当にそこでよいのかという疑問が残ってくる。ただ、昔のようなマップをするのではなく、NGS(Next Generation Sequencer:次世代シークエンサー)が登場したことにより、ずいぶんと母集団は、小さくてすむとか聞いたことがある。技術革新がもたらしてくるものがあるにせよ、一定の数をこなすことは、何においても不可欠である。その小さくした母集団に技術革新を重ねて、よりおもしろいことをできるように考えること、そのことも大事なのかもしれない。

DSCN2271.JPG 遺伝学をやると、2つの集団間での差異があるかを検定することが多い。平均、分散など検定の手法が異なることは、これまでもいくつかやったことがあるので、イメージはある。ただ、統計学には検定だけでなく、推定というのがあったような。。。母集団がどれくらいなのかを推定するというもの。実際に遺伝学をやり始めてからは使ったことがない。因子が多くなったとき、主成分分析のような因子分析はやることは知っていても使ったことはない。いずれこうした分析は、母集団全体を調べることができないので、その一部から、全体を理解したいというものと思っている。たしか、氷山の場合、水面の上にでているのは、1/10以下だったような。これも同じで、見えない水面下を予想することが重要となる。同じような意味では、地球上の大陸の部分の全部も理解できてないが、海洋の深海になると、。。。最近、ずいぶんたくさんの深海魚とかが捕獲されているが、本当の深海がどうなっているのか、いつも知りたいと思う。そうしたら、地震が起きるところがどうなっているのか、目視で判断できる。こんな風に水面下をもっと理解できる方法がないものだろうか。

 水面下、つまり、見えないところでは、いろいろなことが起きている。トンネル工事であったり。もちろん、水面の上は普通見えるので、日々、こんなことが起きているのだと。そういえば、東京と上野の間が在来線で直通になるとか。東北本線、高崎線なら、埼京線経由で上野を通らずに、東海道本線に乗り入れている。ただ、常磐線はこのパターンが使えなかったのが、来年の春からは、在来線で直通になるとか。沿線の方々には、たしかに。自分で使うことがあるかと言えば。。。少し考える。ただ、たとえば、東海道方面のターミナルは東京、東北、上越方面は上野、長野方面というか、中央線は新宿というのがあったが。。。1ヶ所に集中するのは、便利かもしれないが。。。そんな見える、見えないでなくて、そういえばと言うのが、新聞に。1993年の大冷害の時に、栽培面積がササニシキからひとめぼれに転換して、ササニシキをスーパーで見かけることが少なくなった。作付面積は減っているのだろう。昔、大学の時のサークルで、ササニシキとコシヒカリのどちらがおいしいかというのを食べ比べたことがある。当時は、同じ炊飯器でなく、実際にはどっちもどっちだったような。。。ただ、聞いたことがあるのは、コシヒカリの方が水加減が比較的ゆとりがあるのに対して、ササニシキはそれがシビアだと。。。なので、ササニシキは上手に炊く必要が。。。で、見つけたのは、その両者の遺伝子を持った系統「東北194号」が育成され、ササニシキの食味で、コシヒカリ並の耐冷性とか。。。新聞のタイトルにもあったが、「禁断」のというか、「究極」のというか。。。育種をする上では、もちろん、母集団は大きいに越したことはない。と言うか、そうしないと、どこかで行き詰まる。なので、禁断であり、究極なのだろう。このあたりで、水面下に隠れたこれというものを見直す、そんな画期的なことをしないといけないのであろう。なにかといわれると。。。それを今回の出張では考えてみたい。。。

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 わたなべしする

 

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