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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2015年3月の記事を表示しています

"脳の衰え"への恋愛の効能を語りました

アウトリーチ


 山元は、週刊新潮2015312日号(35日発売)の特集、"40代から兆しが見える! 超早期「アルツハイマー病」完全対策"に登場し、恋愛による脳の活性化と認知機能の関連性につき、自説を述べました。

 

出典:超早期「アルツハイマー病」完全対策、週刊新潮 2015312日号、P. 49.

 

[参考サイト] http://zasshi.jp/pc/action.php?qmode=5&qword=週刊新潮&qosdate=2015-03-05&qpage=3

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研究成果がPNASに掲載されました

ポプラではフロリゲン活性化複合体の構成因子FDが機能分化し、花成以外の機能を担っていることを発見しました。さらにポプラにおいては、フロリゲン活性化複合体の重要な転写因子サブユニットFDが、フロリゲンとは無関係に冬季の適応を促進する遺伝子の発現を活性化する新機能を獲得していることを発見しました。

 
 
 
フロリゲンは花芽形成の決定因子ですが、最近になってジャガイモ形成や玉ねぎ形成などの驚くべき多機能性を持っていることが分かってきました。フロリゲンは花芽分化の際は「フロリゲン活性化複合体」と呼ばれる転写複合体を形成して機能するのですが、花芽分化以外の発生現象を制御する際のメカニズムは不明でした。
本研究では、スウェーデンの研究グループと共同でポプラにおけるフロリゲン活性化複合体の機能を研究しました。フロリゲン活性化複合体はフロリゲン、受容体、転写因子の3因子から構成されており、この中の転写因子サブユニットであるFDの機能を詳細に調べました。その結果、ポプラではFDが2つの新しい機能を獲得していることが明らかになりました。
ひとつは夏季の成長促進です。ポプラは夏季に成長し、秋になると成長を止めて冬の寒さに備えます。ポプラの夏季の成長は、実はフロリゲンによって促進されており、秋になってフロリゲンの量が減少すると成長が止まることが知られています。フロリゲンと共にはたらくFDの機能を調べたところ、FDはフロリゲンと共に夏季の成長促進を担保する機能を持つことがわかりました。花芽形成以外の機能(夏季の成長促進)においてフロリゲン活性化複合体の関与を示した重要な例です。
2つ目は冬季の低温適応です。秋になるとポプラのフロリゲンの量は減っていきますが、FDの量は維持されます。このときFDはフロリゲン無しで何をしているのでしょうか。FDの機能解析の結果、フロリゲンとは無関係に低温適応のための遺伝子発現を活性化させていることがわかりました。
フロリゲン活性化複合体の構成因子FDの機能獲得がポプラの成長特性を付与する可能性を示唆しています。

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集団生活の経験と遺伝的素因の両者によって同性への求愛が起こる

研究成果


 キイロショウジョウバエの雄にとって、前肢で雌の腹部を触ってフェロモンを感じることが求愛開始の引き金です。それに続いて、雌の動きが視覚的な刺激となって求愛が持続します。山元班の古波津創と山元は、チャンネルロドプシンを介して求愛行動解発ニューロンを直接刺激することによりフェロモン検知のプロセスを経ずに求愛を開始させ、また雌の代わりにディスプレイ上を動く光点を視覚刺激として雄に提示することにより、野生型の雄に求愛を継続させることに成功しました。興味深いことに、同性愛行動を示す突然変異体として知られるsatoriの雄は、チャンネルロドプシンを介した刺激を与えずとも、動く光の点に対して求愛しました。ところが、羽化直後から単独で飼ったsatoriの雄はこの非特異的な光点への求愛を示さず、また雄に対する求愛をすることもなくなったのです。さらに、satori雄に見られるこの集団生活依存的な視覚依存的求愛が、求愛行動解発ニューロンの視覚刺激に対する鋭敏化に起因する可能性が、ニューロン活動のCa2+イメージングによって示されました。この研究は、遺伝的素因と環境刺激の相互作用によって特定のニューロンの応答特性が規定され、その結果、求愛という社会行動が発現することを示したものとして注目されます。


出典:Kohatsu, S and Yamamoto, D (2015) Visually induced initiation of Drosophila innate courtship-like following pursuit is mediated by central excitatory state. Nature Communications | 6:6457 | DOI: 10.1038/ncomms7457


Kohatsu & Yamamoto 2015-2.jpg


:論文のタイトルページ


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リンク:研究室に行ってみた チューリッヒ大学 進化生態ゲノミクス 清水健太郎 文・写真・川端裕人


ノンフィクション・フィクション作家である川端裕人さんによるNational Geographic日本版(Webナショジオ)の連載「研究室に行ってみた」で研究を紹介していただきました。2015年3月7日から17日までに7回連載予定で、

1回 「新種誕生」を見にスイスアルプスへ行ってみた

2回 わずか100年でどのように新種が誕生したのか

につづき、次世代シークエンサー、シロイヌナズナ属異質倍数体ミヤマハタザオのゲノム解析、自殖の進化、雄の進化などがトピックです。



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「植物の環境応答とクロマチン動態」に関する総説が、
Frontiers in Plant Scienceの特集号 "Epigenetic Mechanisms of Plant Responses to the Environment" に掲載されました。
乾燥、低温、熱などの環境変化に伴う植物のヒストン修飾変化について、最近の知見をまとめました。
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