HOME > 研究経過報告 > Phodopus属ドワーフハムスターの種間雑種の不妊は、X-Y染色体の対合異常による第一減数分裂の停止が主たる要因であることをSci. Rep.に報告しました

研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

「研究経過報告」内を検索

Phodopus属ドワーフハムスターの種間雑種の不妊は、X-Y染色体の対合異常による第一減数分裂の停止が主たる要因であることをSci. Rep.に報告しました

Phodopus属のジャンガリアンハムスター(P. sungorus)とキャンベルハムスター(P. campbelli)のF1雑種の雄は不妊で、雌は妊性をもつことが知られており、この現象はホールデンの法則によくあてはまります。私たちは、この雑種の雄性不妊の原因を明らかにする目的で、分子細胞遺伝学・免疫組織化学的手法を用いて雑種雄の減数分裂の詳細な解析を行いました。その結果、1)ほとんどの精母細胞は第一減数分裂中期で減数分裂を停止し、アポトーシスによって取り除かれる、2)パキテン期から中期にかけてXY染色体の対合異常が高頻度に生じる、3)常染色体の対合異常の頻度は低いが、相同染色体対で二重鎖切断の修復不全が見られる、4)精子をわずかに産生する個体も存在するが、ほとんどの精子で頭部や尾部に形態の異常が見られることが判明した。これらの結果は、ドワーフハムスターの種間雑種の雄性不妊は、XY染色体の対合異常による第一減数分裂の停止が主たる要因であり、第二減数分裂を通過した半数体細胞では、精子の形態形成にかかわる遺伝子の発現異常が不妊の原因であることを示唆しています。
  
  
Ishishita S, Tsuboi K, Ohishi N, Tsuchiya K, Matsuda Y. Abnormal pairing of X and Y sex chromosomes during meiosis I in interspecific hybrids of Phodopus campbelli and P. sungorus. Scientific Reports (published online at March 24, 2015).

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関