HOME > 研究経過報告 > 【奈良先端大】辻班

研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

「研究経過報告」内を検索

【奈良先端大】辻班の記事を表示しています

研究成果がPNASに掲載されました

ポプラではフロリゲン活性化複合体の構成因子FDが機能分化し、花成以外の機能を担っていることを発見しました。さらにポプラにおいては、フロリゲン活性化複合体の重要な転写因子サブユニットFDが、フロリゲンとは無関係に冬季の適応を促進する遺伝子の発現を活性化する新機能を獲得していることを発見しました。

 
 
 
フロリゲンは花芽形成の決定因子ですが、最近になってジャガイモ形成や玉ねぎ形成などの驚くべき多機能性を持っていることが分かってきました。フロリゲンは花芽分化の際は「フロリゲン活性化複合体」と呼ばれる転写複合体を形成して機能するのですが、花芽分化以外の発生現象を制御する際のメカニズムは不明でした。
本研究では、スウェーデンの研究グループと共同でポプラにおけるフロリゲン活性化複合体の機能を研究しました。フロリゲン活性化複合体はフロリゲン、受容体、転写因子の3因子から構成されており、この中の転写因子サブユニットであるFDの機能を詳細に調べました。その結果、ポプラではFDが2つの新しい機能を獲得していることが明らかになりました。
ひとつは夏季の成長促進です。ポプラは夏季に成長し、秋になると成長を止めて冬の寒さに備えます。ポプラの夏季の成長は、実はフロリゲンによって促進されており、秋になってフロリゲンの量が減少すると成長が止まることが知られています。フロリゲンと共にはたらくFDの機能を調べたところ、FDはフロリゲンと共に夏季の成長促進を担保する機能を持つことがわかりました。花芽形成以外の機能(夏季の成長促進)においてフロリゲン活性化複合体の関与を示した重要な例です。
2つ目は冬季の低温適応です。秋になるとポプラのフロリゲンの量は減っていきますが、FDの量は維持されます。このときFDはフロリゲン無しで何をしているのでしょうか。FDの機能解析の結果、フロリゲンとは無関係に低温適応のための遺伝子発現を活性化させていることがわかりました。
フロリゲン活性化複合体の構成因子FDの機能獲得がポプラの成長特性を付与する可能性を示唆しています。

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

研究成果がPNASに掲載されました

 花芽分化の決定因子・フロリゲンが植物の幹細胞組織・茎頂メリステムに分布する様子を時空間的に詳細に明らかにし、同時にフロリゲンの下流遺伝子の活性化もイメージングすることに成功しました。さらにフロリゲンが生殖生長の開始にあたってトランスポゾンの発現を抑制することを明らかにしました。
 これらの結果は、フロリゲンがトランスポゾンをサイレンシングさせることにより、生殖生長の開始にあたってゲノムの保護に貢献している可能性を示唆しています。また、トランスポゾンのサイレンシングがエピジェネティックな遺伝子発現の制御を介して生殖生長の進行をポジティブに制御する可能性も考えられます。これらを総合することで、生殖生長とゲノム機能制御の新しい研究展開へ繋げたいと考えています。
 本研究は名城大学・寺田理枝教授、奈良先端大・植物グローバル教育プロジェクト・倉田哲也特任准教授のグループとの共同研究です。
 
 
 
Tsuji_Figure1.jpgのサムネール画像

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

ただいま記事の準備中です

今しばらくお待ちください

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関