文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」
広報
山元班の濵田-川口典子が、インテリジェントコスモス奨励賞を受賞しました。西沢潤一理事長から記念の盾を受け取る濵田の写真とともに、受賞のようすが河北新報に報じられています。
出典:河北新報、2015年5月22日朝刊第9面
研究成果
山元班ではキイロショウジョウバエの性行動を生み出す中枢ニューロンの同定を進めてきましたが、このたび、北海道教育大学の木村賢一らと共に、雌の生殖行動のトリガーニューロンを同定しました。雌は、二つの異なる脈略で産卵管を押し出す行動をとります。すなわち、求愛してきた雄を拒否する時と、産卵する時です。同じように見える産卵管の押し出しですが、交尾拒否の時と産卵の時とでは、それぞれ異なる脳の介在ニューロンが活性化されることで、それぞれの行動がひき起されることがわかりました。
出典:Kimura, K. et al. (2015) Drosophila ovipositor extension in mating behavior and egg deposition involves distinct sets of brain interneurons. PLoS ONE DOI:10.1371/journal.pone.0126445
図:doublesex遺伝子発現ニューロンを人為的に活性化させて誘起したキイロショウジョウバエ雌の産卵行動
科学研究費の申請書にも近年、実施が義務づけられている「国民との科学・技術対話」の推進。鈴木班でも、小中高への出前講義を通したアウトリーチ活動を広く展開し、国民へ科学・技術を還元します。
前々回が9月末まで、前回が12月末までをまとめました。今回は、1月から3月の第4四半期における研究分担者・渡辺のアウトリーチ活動をまとめておきます。また、最後のところに、今年度の総括ではないですが、少しまとめてみました。詳しい内容は、研究室のHPに記してありますので、興味のある方は、ぜひ、以下のlinkをご覧ください。講義内容は、今回は小学校、中学校、高校、一般の方、向けで、内容は植物の生殖などに関わる講義、実験、見学サポートなどです。
いつもなら、3月終わったところですぐにuploadなのですが、この年度初めはあり得ないようなばたばたで。。。気がついたら、連休も終わり。というか、今日、明日とお休みをとっている方には、まだ、連休かもしれないですが。何より「菜の花」がメイン実験材料なので、このシーズンは毎年、農繁期。これだけは致し方ないです。。。
仙台市立七北田小学校・NSP特別講義(1)
平成26年度東北地区SSH指定校発表会・コメンテーター、審査員(1, 2)
平成26年度グローバルサイエンスキャンパス・連絡協議会(1)
平成26年度岩手県立盛岡第三高等学校・SSH第2回運営指導委員会及び運営指導委員会(1, 2)
今治市立日高小学校(2014年度ふるさと出前授業-14)(1)
今治市立宮窪小学校・2014年度ふるさと出前授業-15)(1)
愛媛県立今治南高等学校園芸クリエイト科・特別講義(1)
石川県立小松高等学校SSH担当・来訪(1)
香川県立観音寺第一高等学校・平成26年度SSH研究成果報告会、及び運営指導委員会(1)
仙台市立木町通小学校・特別講義(1)
福島県立福島高等学校・SSH運営指導委員会、課題研究発表会(1, 2)
岡山県立倉敷天城中学校「課題研究2014」発表会(1)
金光学園中学・高等学校・探求I「課題研究中間発表会」(1)
飛翔型「科学者の卵養成講座」プレゼン会議・閉講式(1)
山形県立鶴岡南高等学校・SSH理数セミナーI(1)
飛翔型「科学者の卵養成講座」・米国リバーサイド研修(1, 2, 3)
今年度のまとめでなので、アウトリーチ活動総数と手紙などを書いた総数を出しているのですが、それについては、また、後日。というか、近日中に。。。また、ここに実数として出すことはできませんが、出前講義等に伺ったあとに、mailでの質問なども多数ありました。主に高校生ですが。そうした方々とのやりとりもありました。
で、2014年度のアウトリーチ活動総数は、131件、手紙、レポートを繰れた児童、生徒さんたちには、全員個別の返事を書きました。その総数は、4,021通。ということでした。例年どれくらいかわからないのですが、それなりの数はこなせたのではと思います(5/8(金)、追記)。
次年度というか、すでに今年度ですが、引き続き、社会貢献ができる領域であるように努力したいと思います。
わたなべしるす
トゲウオの性染色体のゲノム解析を行い、その成果がMolecular Biology and Evolutionにオンライン掲載されました。
White, M. A., Kitano, J., and Peichel, C. L. (2015) Purifying selection maintains dosage-sensitive genes during degeneration of the threespine stickleback Y chromosome. Molecular Biology and Evolution (http://mbe.oxfordjournals.org/content/early/2015/03/25/molbev.msv078.abstract)
Y染色体の非組換え領域と呼ばれる領域は、X染色体との間に組換えがないことから、有害な変異が蓄積し遺伝子機能を急速に失うと考えられています。一方で、生き物の生存にとって発現量の厳密なコントロールが必要な(dosage-sensitive)遺伝子は、Y染色体上でも純化選択によって残存するということが、哺乳類のY染色体の研究例から示されていますが、分類群を超えた普遍性は不明です。
今回、我々は、トゲウオのゲノム配列と遺伝子発現を解析することによって(1)トゲウオにはY染色体の遺伝子が失われた時に量的補償と呼ばれるX染色体上の遺伝子の発現量を変化させて補償する仕組みがないこと(2)Y染色体の非組換え領域には有害変異が蓄積しているものの、いまだ残存する遺伝子群は、哺乳類や酵母において遺伝子発現量が低下すると致死的であることが知られている遺伝子群であったり、タンパク複合体を構成する遺伝子群であったりすることから、dosage-sensitiveな遺伝子が多いことが明らかになりました。これは、哺乳類で最近明らかになった知見が魚でも共通であることを示しています。本成果は、フレッドハッチンソンがん研究所との共同研究で、北野研究室では、トミヨ属のゲノム配列とRNA配列の決定を、新学術領域研究のゲノム遺伝子相関の一部支援のもとで行いました。