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研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

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2015年6月の記事を表示しています

  哺乳類と鳥類の性染色体は目全体を通して相同であるのに対し、爬虫類がもつ性染色体(ZW型とXY型)の起源は多様であることを、私たちはこれまでの研究で明らかにしてきました。両生類に属する無尾類(Anura)の性染色体も多様性に富む可能性は以前から示唆されていましたが、機能遺伝子の染色体マッピングによって性染色体の相同性が比較されたことはほとんどありませんでした。そこで私たちは、ZZ/ZW型の性染色体構成をもつアフリカツメガエル(Xenopus laevis)、ネッタイツメガエル(Silurana/Xenopus tropicalis)、ツチガエル(Rana rugosa)、カジカガエル(Buergeria buergeri)4種について機能遺伝子の比較染色体マッピングを行い、性染色体の遺伝連鎖群の比較を行いました。X. tropicalisについては、ゲノム解析によって雌雄間で組換えが抑制されている雌特異的ゲノム領域を染色体上にマッピングし、性染色体を特定しました。
   
  その結果、X. laevisX. tropicalisR. rugosaの性染色体には相同性はなく、それぞれ性染色体の起源が異なることがわかりました。X. laevisでは、同祖染色体(2L, 2S)の内、一方の染色体対(2L)にのみ卵巣決定遺伝子(DM-W)が存在することから、異質四倍体化後に新たに性決定遺伝子が獲得された可能性が示唆されました。一方、X. tropicalisのZ染色体は、B. buergeriの7番染色体(Z染色体)と12番染色体と相同であることが判明しました。しかし、X. tropicalisのZ染色体で動原体分離が生じてB. buergeriのZ染色体が形成されたのか、B. buergeriの7番染色体と12番染色体が融合してX. tropicalisのZ染色体が形成されたのかは不明です。B. buergeriのW染色体には大きな逆位が存在し、その後、長腕の遠位部で欠失、引き続き反復配列の増幅が生じたことを明らかにしました。この研究成果は、無尾類における性染色体の起源や進化過程について新たな情報を提供するものであり、Cytogenetic and Genome Research誌の特集号"Evolution, Genetics, and Genomics of Xenopus"のinvited articleとして、2015年6月17日付でオンライン掲載されました。
   
  
Uno Y, Nishida C, Takagi C, Igawa T, Ueno N, Sumida M, Matsuda Y (2015) Extraordinary diversity in the origins of sex chromosomes in anurans inferred from comparative gene mapping. Cytogenetic and Genome Research  (published online on June 17, 2015) (invited article in the special issue "Evolution, Genetics, and Genomics of Xenopus")

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山元班の研究成果が「東北大学新聞」で紹介されました

広報


雄が同性愛行動をとり、雌と交尾しないため不妊となるキイロショウジョウバエの突然変異体、サトリが、実は他の雄と一緒にいたことがないと雄同士の求愛を示さないことから、この行動には遺伝的要因の他に社会的要因が関与することが明らかとなっていますが、山元班によるこの研究成果を報ずる記事が東北大学大学新聞に掲載されました。


出典:『東北大学新聞』2015520日号、第1面




東北大学新聞.jpg

:東北大学新聞の記事

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胚筋の電位発生に関する論文を発表しました

研究成果


 山元班の原らは、キイロショウジョウバエ胚の筋細胞で中心的な役割を演じるCa2+チャンネルがDmca1Dであることを、パッチクランプ法と突然変異体の活用によって明らかにしました。胚の筋標本を用いることによって、致死変異のホモ接合体についても膜特性の解析が可能となり、神経変性疾患モデルの研究などに寄与することが期待されます。

 

出典Hara Y, Koganezawa M, Yamamoto D. The Dmca1D channel mediates Ca2+ inward currents in Drosophila embryonic muscles. J Neurogenet. 2015 May 25 [Epub ahead of print]. PMID: 26004544


Fig1-2.jpg


:胚の筋肉から記録した活動電位(原佑介 原図)

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