文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」
高山班の連携研究者である名古屋大学東山哲也教授のグループから興味深い論文がPLoS Biology[10(12):e1001449, 2012]に発表されました。 詳しい内容は以下のリンクからたどって頂きたいと思います。 論文 http://www.plosbiology.org/article/info%3Adoi%2F10.1371%2Fjournal.pbio.1001449 東山研関連HP http://www.higashiyama-lab.com/news/2012/12/post_10.html 論文の主役はディフェンシンに類似のLUREと呼ばれるペプチドです。LUREペプチドは、植物の受精の過程で助細胞から分泌され、花粉管を誘引する活性を持つことが同グループから示されています(Okuda et al. Nature 2009)。今回の論文では、LUREペプチドが花粉管の誘引に重要なだけではなく、同種、異種の認識にも重要であることが示されています。シロイヌナズナ由来のLUREペプチドをトレニアに発現させると、シロイヌナズナの花粉管が誘引され、トレニアの胚嚢に侵入することが示されました。 植物のデイフェンシン様ペプチドは、非常に大きなマルチジーンファミリーを形成しており、シロイヌナズナでは300以上遺伝子が存在しています。また、アブラナでは同じファミリーに属するSP11/SCRは、自家不和合性を決定する重要な因子で自己認識に働いていることが高山グループから先駆的な仕事として示されています。さらに、トウモロコシでは、同じファミリーに属するMeg1遺伝子がインプリントされていることが示されており(Costa et al. 2012)、胚乳における生殖隔離にもデイフェンシン様ペプチド遺伝子のサブファミリーが関与している可能性も否めません。 (論文紹介:木下@奈良先端大)
「ライフサイエンス領域融合レビュー」にて高山班連携研究者、ERATOリーダーの東山哲也先生の総説が公開されています。この度、LEADING AUTHOR'sという新しいWEBベースの媒体が立ち上げられており、「植物の生殖細胞と受精戦略」というタイトルで、植物の複雑な受精の仕組みを分かりやすく解説されています。
http://leading.lifesciencedb.jp/
すでにこのサイトを利用されている方はご存じかと思いますが、「ライフサイエンス新着論文レビュー FIRSTAUTHOR'S」の姉妹版です。本サイトは、生命科学において注目される分野、学問領域を誰でも無料で閲覧できるメディアです。学部・大学院生にとってこの上ないサイトかと思います。これまでにも、領域代表の高山先生、公募班の山本先生や不肖私もこのサイトに執筆しており、新学術の皆さんにも是非閲覧して頂きたいと存じます。
(論文紹介・木下)
去る10月29日に、奈良先端科学技術大学大学院にて、国際シンポジウム"A New Generation of Plant Embryo Research"を開催しました。オーガナイザーは、奈良先端大、中島敬二さん、相田光宏さん、本領域から植田美那子さんと私が務めさせて頂きました。
奈良先端大内外から約100名もの参加者があり、海外若手研究者4名と本領域連携研究者の名古屋大学東山哲也さんを交えて大変活発な討論が行われました。
http://bsw3.naist.jp/topics/event.php?id=819
写真は、看板の前でのスピーカーの集合写真です。
残念ながら、植田さんはこの時ディスカッション中でした。
韓国済州島にて開催された第10回International Congress on Plant Molecular Biologyに参加して来ました。植物研究のあらゆる分野の研究者が集まる大変大きな国際会議でした。ここでも、領域のキーワードとなるような、多様性や、複雑な分子機構に軋轢を与える生命現象など様々な話題を聞くことができました。領域からの参加者も多く、高山班、Goto班、矢野班、藤原班からの参加者がありました。また、Jose Guiterreiz-Marcosさんと一緒にセッションオーガナイザーをさせて頂いた、Reproductive Organ Development I: Genetic and Epigenetic Aspects of Seed Developmentでは、Plant and Cell Physiology誌のバックアップを頂きました。この場を借りてお礼申し上げます。
写真は、ポスター発表されていた高山研の久保さんです。