文部科学省科学研究費補助金「新学術領域研究」
本研究領域との共催として、第33回日本植物細胞分子生物学会(東京)大会・シンポジウム(8月10~12日)において、バイオインフォマティク ス講習会を実施しました。講習会において、参加者は持ち込んだノートPCで、Perlの構築・実行方法を実習しました。2.5時間と限られた時間でしたが、配列情報処理などの基礎まで実施することができました。
広報活動・アウトリーチ
山元は、Josh Dubanauが編集してCambridge University Pressより刊行したテキスト"Behavioral Genetics of the Fly (Drosophila
melanogaster)"の書評(invited)を、The Quarterly Review of Biology (University of Chicago Press)に発表しました。
出典:Yamamoto, D. (2015) Behavioral Genetics of the Fly (Drosophila melanogaster). Cambridge
Handbooks in Behavioral Genetics. Quart. R. Biol. 90, 244.
図:書評した本の表紙
鳥類と爬虫類では、ほとんどの種が微小なマイクロ染色体をもっています。しかし、分岐年代が古く、トカゲ類・ヘビ類を含む有鱗目(Squamata)の系統樹の基底部に位置付けられるヤモリ科(Gekkonidae)の種には、マイクロ染色体が見られません。この事実は、有鱗目の祖先種はマイクロ染色体をもたず、マクロ染色体の分断によってマイクロ染色体が生じたと考えるfission説を支持しているように思われます。しかし、分岐年代の新しいカナヘビ科(Lacertidae)では、マイクロ染色体の消失が見られることから、爬虫類におけるマクロ染色体とマイクロ染色体の出現と消失の過程については、これまで大きな謎とされていました。そこで、私たちは、ZW型の性染色体構成をもちマイクロ染色体をもたないミナミヤモリ(Gekko hokouensis)とマイクロ染色体をもつシマヘビ(Elaphe quadrivirgata)、ミズオオトカゲ(Varanus salvator macromaculatus)、バタフライトカゲ(Leiolepis reevesii rubritaeniata)、そしてマイクロ染色体を1対しかもたないニワカナヘビ(Lacerta agilis)との間で機能遺伝子の染色体地図を作成しました。さらに、これらの染色体地図にアノールトカゲ(Anolis carolinensis)とニワトリのゲノム地図の情報を加えて染色体上の遺伝子の連鎖群の比較を行い、各種間の染色体相同性を明らかにすることによって、有鱗目における祖先核型と染色体の構造変化の過程を推定しました。
研究発表
今年から、新たに国際ワークショップ"EMBO-Kavli Workshop on Neural Circuits and Behaviour of Drosophila"が始まりました。奇しくも、ギリシャの経済緊縮策を問う国民投票が行われた7月5日に開会して10まで、クレタ島コリンパリの修道院施設にて開催されました。Howard Hughes Medical Instituteの拠点とも言えるJanelia Farm
(USA)から大将のGerry Rubin以下、大挙して繰り出してまるでJaneliaの夏合宿のようなワークショップでしたが、山元はfruitless発現ニューロンを巡る独自の研究を披瀝して気を吐きました。
写真:アテネの街頭集会(7月10日)