HOME > 研究経過報告 > 【遺伝研】北野班

研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

「研究経過報告」内を検索

【遺伝研】北野班の記事を表示しています

研究内容がNHK「サイエンスZERO」で紹介されました

本研究課題について計画班・牧野能士先生が下記番組へ出演し研究内容について紹介しました。

NHK「サイエンスZERO」
2015年7月26日放送
*番組HP
http://www.nhk.or.jp/zero/contents/dsp512.html
DNAの大事件!生命進化の謎
事務局代筆

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

研究成果がPLOS Geneticsに掲載されました

生き物によって染色体の数は異なっていますが、これはおもに異なる染色体がくっついたり離れたりすることによって生じます。こういった染色体の融合や分離を引き起こす進化の原動力について多くは不明です。今回我々は、性染色体と常染色体の融合という現象に着目しました。生き物には、XYで性が決まる生き物(例えば、Y染色体の上にオス決定遺伝子がのっている生き物)とZWで性が決まる生き物(例えば、W染色体の上にメス決定遺伝子がのっている生き物)がいますが、性染色体の片方のみが常染色体と融合した生き物(例えば、XとYの片方のみが常染色体と融合した場合は、それぞれXY1Y2やX1X2Yと呼ばれる)を示す生き物もおり、multiple sex chromosome systemといいます。
まず、魚類と爬虫類において報告されている性染色体のデータベースを構築し、multiple sex chromosome systemを持つ生物種を系統樹の上にマッピングしました。その結果、Y染色体と常染色体の融合の頻度が、他のタイプの融合に比して顕著に高いことが明らかになりました。このパターンの原因を探るために集団遺伝の理論的な研究を行った結果、(1) 融合が弱有害であり染色体融合が卵子よりも精子形成の過程で起こりやすいケース、あるいは、(2) 融合が弱有害でありハーレム様式のように特定の少数のオスのみが子孫を残せるケースでこのような顕著なパターンが見られることが明らかになりました。
これまであまり着目されて来なかった核型の進化機構への新しい視点を与えるものと高く評価され米科学誌PLOS Geneticsに掲載されました。
本成果は、米国進化統合センターの支援のもと北野がオーガナイズした小グループの国際チームにて、新学術領域ゲノム遺伝子相関の一部支援のもとで行われました。
Pennell, M. W., Kirkpatrick, M., Otto, S. P., Vamosi, J., Peichel, C. L., Valenzuela, N., and Kitano, J. (2015) Y fuse? patterns of sex chromosome fusions in fishes and reptiles. PLOS Genetics 11: e1005237
fig2-modified.jpg
図の説明:魚類では、Y染色体と常染色体の融合(Y-A)が、有為に多い。Pennell et al. 2015 (PLOS Genetics 11: e1005237)より。

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

トゲウオY染色体に残存する遺伝子群の特徴

トゲウオの性染色体のゲノム解析を行い、その成果がMolecular Biology and Evolutionにオンライン掲載されました。

White, M. A., Kitano, J., and Peichel, C. L. (2015) Purifying selection maintains dosage-sensitive genes during degeneration of the threespine stickleback Y chromosome. Molecular Biology and Evolution (http://mbe.oxfordjournals.org/content/early/2015/03/25/molbev.msv078.abstract)

Y染色体の非組換え領域と呼ばれる領域は、X染色体との間に組換えがないことから、有害な変異が蓄積し遺伝子機能を急速に失うと考えられています。一方で、生き物の生存にとって発現量の厳密なコントロールが必要な(dosage-sensitive)遺伝子は、Y染色体上でも純化選択によって残存するということが、哺乳類のY染色体の研究例から示されていますが、分類群を超えた普遍性は不明です。

今回、我々は、トゲウオのゲノム配列と遺伝子発現を解析することによって(1)トゲウオにはY染色体の遺伝子が失われた時に量的補償と呼ばれるX染色体上の遺伝子の発現量を変化させて補償する仕組みがないこと(2)Y染色体の非組換え領域には有害変異が蓄積しているものの、いまだ残存する遺伝子群は、哺乳類や酵母において遺伝子発現量が低下すると致死的であることが知られている遺伝子群であったり、タンパク複合体を構成する遺伝子群であったりすることから、dosage-sensitiveな遺伝子が多いことが明らかになりました。これは、哺乳類で最近明らかになった知見が魚でも共通であることを示しています。本成果は、フレッドハッチンソンがん研究所との共同研究で、北野研究室では、トミヨ属のゲノム配列とRNA配列の決定を、新学術領域研究のゲノム遺伝子相関の一部支援のもとで行いました。

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

第37回日本分子生物学会年会で、ワークショップ「動植物における生殖戦略とその分子基盤」を開催しました。

 第37回日本分子生物学会年会で、北野、渡辺がオーガナイザーとなって、ワークショップ「動植物における生殖戦略とその分子基盤」を開催しました。本領域からは、高山教授(奈良先端大)、北野准教授(遺伝研)、東山教授(名古屋大)に講演頂き、また、班員外からも関連分野の方々、4名に話題提供頂きました。

DSCN5267.JPG 「生殖戦略」という観点から様々な現象を見て、その多様性、共通性が見いだされ、みなさんからも概ね好評だったかと。。。お世話になった先生方、ありがとうございました。


 わたなべしるす

DSCN5273.JPG PS. 渡辺のHPにも関連記事を記しておきました。あわせて、ご覧下さい。




ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

研究成果がMolecular Ecologyに掲載されました

日本メダカの雌雄差の地理的変異の遺伝基盤を解明
雄雌で繁殖に有利な表現型が異なる場合、性差が進化することがあります。雌雄差は集団間によってその程度は大きく異なっていますが、その遺伝基盤はよく分かっていません。このたび、国立遺伝学研究室の北野潤研究室と琉球大学の山平寿智研究室の共同研究により、日本の野生メダカを用いてその遺伝基盤に迫る研究がMolecular Ecology誌にオンライン発表されました。
メダカは、オスの尻ビレがメスよりも発達していることはよく知られており、交配時にオスがメスをつかむためであると考えられています。山平研究室では沖縄のメダカの方が、青森のメダカよりも尻ビレの性差が顕著であることを見いだしていました。そこで、北野研究室ではこの集団間の違いを生み出す原因遺伝子座をマッピングし、染色体14番に強い効果のある遺伝子座を同定しました。この際に、テキサス大学のカークパトリック博士と共同で直交ルジャンドル多項式を用いる曲線の解析方法を確立しました。今後は、この遺伝的実体に迫ることで、野外の生物集団における雌雄差の変異の遺伝機構に迫ります。
Kawajiri, M., Yoshida, K., Fujimoto, S., Mokodongan, D., Ravinet, M., Kirkpatrick, M., Yamahira, K., and *Kitano, J. (2014) Ontogenetic stage-specific quantitative trait loci contribute to divergence in developmental trajectories of sexually dimorphic fins between medaka populations. 

図:オス(上)の方が、メス(下)よりも長い尻ビレを持つ
medaka.jpg

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関