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雄特異的筋肉の誘導に必要な種に固有のゲノム領域を特定

研究成果

Drosophila melanogaster(キイロショウジョウバエ)の雄成虫には、腹部第5節の背板に付着する一対の筋肉、ローレンス筋(Muscle of Lawrence: MOL)が存在します。MOLは、支配運動ニューロンが雄決定因子のFruitlessFru)タンパク質を発現する時にのみ形成される雄特異的筋肉です。同じDrosophila属の種でも雄がMOLを持たない種が多数あり、またMOLを二対持つD. subobscuraも存在します。この種差の原因を特定するため、fru遺伝子プロモータ5'側配列約6kb領域をD. subobscuraからクローニングし、D. melanogasterに導入して、その配列を用いてfruの強制発現を行ったところ、雌にMOLが形成されました。D. melanogasterの対応する配列にはMOLを誘導する能力はありません。そこで種間キメラの配列を作成することで、MOL誘導能を持つゲノム領域を1.5kbの範囲に狭めることに成功しました。今後は、さらにこの範囲に含まれるどのモチーフがMOL誘導に関わるのかを決定することが急務です。

 

出典Takayanagi, S., Toba, G., Lukacsovich, T., Ote, M., Sato, K. and Yamamoto, D. A fruitless upstream region that defines the species specificity in the male-specific muscle patterning in Drosophila. Journal of Neurogenetics (in press).


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D. melanogaster雄のMOL

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国際ワークショップを開催しました

成果発表/アウトリーチ


東北大学脳科学センターと台湾中央研究院とが協力して、第2回台湾--東北大学神経科学若手ワークショップを開催しました。このワークショップは前半のコンファレンスと後半のラボベンチミーティングとからなり、前者では口頭発表とポスター、後者では台湾側参加者が東北大学の関連研究室を訪ねて膝を交えて討論するというものです。前半のカンファレンスは12月7日から9日に宮城蔵王ロイヤルホテルを会場に実施されました。ラボベンチミーティングは10日に行われ、翌11日、被災地閖上の視察をもって全てのプログラムが終了しました。

"The Brain in Function and Malfunction: a Neurogenetic Approach"というタイトルにも表現されているように、幅広い領域を遺伝学的アプローチで結ぶチャレンジングな会でしたが、日台それぞれ約30名、トータル60名の参加を得て大いに盛り上がりました。東北大学側は山元とそのラボメンバーが中心に運営にあたったものです。


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写真:宮城蔵王ロイヤルホテル会場にて

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同性愛行動を示すsatori変異体の研究を平易に紹介

広報/アウトリーチ


山元は、『現代化学』誌の"生物の窓"欄で、ショウジョウバエのfruitless (satori)変異体の研究の発端から現在まで、自身の研究を中心に紹介しています。これまで、性指向性が遺伝子によって決定付けられる事例として理解されてきたsatori変異体ですが、実はその同性愛形質の発現に、飼育環境が少なからず影響を及ぼすと言う最新の研究成果を含め、この研究の予想を超えた展開が語られています。


出典:山元大輔(2014)同性に求愛するハエ、現代化学No525、36-38.


141128_chemistrytoday.jpgのサムネール画像


図:掲載誌の表紙

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Janelia Conferenceで求愛行動の中枢機構について講演しました

成果発表


山元は2014年11月9日から12日まで、米国バージニア州アッシュバーンのJanelia Farm Research Campusにて開催のカンファレンス、"Neural Circuits Controlling Sexual Behavior"に参加して成果の発表を行った。Janelia ConferenceGordon Conference型の小規模ミーティングであり、テーマを絞ってその分野のトップリーダーが集い、少数の若手精鋭を加えて実施される。斯界の第一人者が世界最高峰のHoward Hughes Medical Institute直轄研究所、Janelia farmに集結して催されるこの会合は、他では経験できない緊張感が常に支配している。今回も例外ではない。山元は、会期2日目の10日にCentral regulation of male courtship behavior in Drosophila melanogasterと題して40分の持ち時間で講演を行った。今度は何を出してくるのか、という聴衆の期待をつぶさに受けながら未発表の最新成果を披歴すると、驚きに似た波紋の広がりが聴き手の表情からひしひしと伝わってきた。講演後の質疑は10名近くから矢継ぎ早に質問を受け、我々の成果が与えたインパクトの大きさは歴然たるものがあった。

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オフィス配布紙のLGBT特集で生物学者としてコメント

アウトリーチ/広報


性的マイノリティー、Lesbian-Gay-Bisexual-Transgender (LGBT)の"存在理由"について、OL向け無料配布紙、「シティリビング」にて山元が解説しています。経済の観点からは森永卓郎、当事者の立場でブルボンヌがそれそれの考えを披瀝しており、日本の社会の性への受け止めかたが、大きく変わりつつあるのを実感させます。


出典:シティリビングNo. 1530、第3面、2014117日発行、サンケイリビング新聞社.


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図:掲載された山元のコメント

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