東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

普通のこと、基礎的なこと、その先にあるもの。。。(2/11)

2012年2月11日 (土)

 とある会議で、「ネズミを初めて見た」という高校生。都会の話でなく、田舎の子供が見たのは、都会の研究所。これが普通かと思うかもしれないが、生物部などで、ハムスターなどを飼育していなければ、そんなものかもしれないと思った。今の高校生の自宅で、屋根裏に、ねずみ取りを仕掛けるということが、普通だろうか。そんな家はあるのかもしれないが、普通ではない。夜、寝ようとすると、屋根裏でネズミの運動会。結構うるさい。こんなのは、古き昭和のおうちの話かもしれない。少なくとも自分は、これら一連を経験し、ねずみ取りにかかったネズミを川につけて、「成仏」させるのが仕事であった。結構むごいかもしれないが、普通の生活には変えられない。また、子供の頃の家には、ゴキブリは飛ぶし、アオダイショウが振り子時計のところから。。ムカデが這っていたり。渡辺は、ジャングル生活でもしているのかと思うかもしれないが、そんなことはない、単に古い家に住んでいた。蛇というか、は虫類は苦手で、見つけたのが夕方であると、近所の方のお手伝いで、とってもらった。ゴキブリは、ごきぶりホイホイに追い込んだ。粘着剤の上で動くのを観察することもあった。虫は苦手ではなかった。さすがにムカデは、ピンセット、火箸でつまんで、ガスコンロの上に。。これも「成仏」。。。今の子供たちには、こんなのは普通でないと思う。そんな環境の子供たちもいるかもしれないが、ほとんどがそうではない。時代によって、普通のことは変わっていく。これは仕方ないのかもしれない。

DSCN2184.JPG ただ、一方で変わらないこともあってよい様に思う。先日、高校時代の国語の恩師とお会いした。ちょうど受験の時期ということもあって、短い時間であったが、ちょっとしたきっかけで、話は盛り上がった。要は基礎学力の問題。基礎学力を昔は、「読み書きそろばん」と。いつの時代といわれるかもしれない。ただ、いろいろなものを読む力、様々な文章を書く力、基本的な足し算引き算かけ算割り算。これは、何をするのにも基本というか、基礎であろう。これがないと、新しいことを考えたり、不思議と思ったときに、次につながらないような気がする。もちろん、パソコンを使うのが上手だったりすることも最近は必要なのかもしれないが、自分の師匠もそうであったが、パソコンを使うのが上手よりも、「ブラインドタッチ」で200-300タッチ/minというような方が、はるかに汎用性がある。基礎というのは、そうしたすべての物事の汎用性なのかもしれない。そういう基礎のができた上に応用的な物事をやるからこそ、砂上の楼閣にならないのであろう。基礎がない上に、どの様なものを構築しても、大きく成長するようなものにはならないであろう。そのためにも、基礎基盤はどの様なことにも重要であろう。

 時代は急速に流れて、国際化、国際化といわれる。出前講義に行っても英語の重要性をいっている。これは、自分の英語力がなさ過ぎたことの反省というより、大学での研究をする上での英語の重要性を考えてのことである。大学受験の英語と、今使っている科学英語。同じ英語かもしれないが、少し違うような気もする。それは、英語ができない言い訳かもしれない。また、今の高校では、英語をしゃべるトレーニングをするようであるが、実際に外国の方を前にして、気合いを入れてしゃべるのは、また、ある意味違う。どうやったら、国際化に適応して、また、日本が昔から培ったよい面と融合して、さらなる発展ができるのだろうか。とても難しい問題で、すぐに解答が見えてこない。国際化とガラパゴス化。よい面はよい面として評価する体制を整えることも大切なのであろう。

DSCN2181.JPG こんなことを書き綴ったが、今日で震災から、11ヶ月。まずは、なくなられた多くの方々のご冥福をお祈りする。また、まだ、避難生活をされている方々の苦労が少しでも少なくなるように、祈ることくらいしかできない。こうした中で、少しずつの変化、復旧、復興は着実にあるのだろう。ただ、こんなにペースでよいのだろうか。自分の子供の頃より、時代の時計は、数倍、数十倍の速さで流れているような気がするが。。


 わたなべしるす


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【出前講義】香川県立観音寺第一高等学校・SSH運営指導委員会(2/9)

2012年2月 9日 (木)

 今年度からSSHに採択された、香川県立観音寺第一高等学校のSSH運営指導委員を仰せつかっており、年度末の運営指導委員会でした。前回の6/23には、講義も行いましたが、今回は運営指導委員会のみでした。ここの高校も、先日SSH運営指導委員会に参加した、岩手県立盛岡第三高校と同じように、理数科だけでなく、音楽、体育などとも横断的な授業を実施しているのは、とても興味深い取組だったと思います。科学講演会も初年度から5回も実施し、理数科だけでなく、普通科も巻き込んだ取組は、評価できるものだと思いました。何より、こうした科学講演会で、「科学リテラシー」が向上したのではと思いました。また、理数科があることにもよると思いますが、従来から夏の自然体験合宿プログラムというのを行っているのは、生徒間のより強い連携ができるのではと思い、こうした自然観察などがより多くのSSH実施校などで行われたと思うようなものでした。さらに、1年目から課題研究の受賞歴もあるということは、高く評価できることではと思いました。

DSCN2192.JPGのサムネール画像 これらを踏まえて、いくつかのSSHの活動の運営指導委員を仰せつかっているので、それぞれを比較検討しながら、よりよい方向にということでコメントをさせて頂きました。2年目に向けて、さらなる発展を祈念しております。

 最後になりましたが、石井先生、圖子先生、校長先生をはじめとする関係の先生方、香川県教育委員会の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。

 わたなべしるす

 PS. 今回の出張中に、母校の今治西高におじゃまする機会があり、3年間、国語(現国、古文)を教えて頂いた先生とお会いして、近況など、短い時間でしたが、お話し、情報交換をできたことは、これからの出前講義の参考になりました。ありがとうございました。

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【出前講義】愛媛県立今治南高等学校・出前講義と実習「高等植物における発生:生殖・胚発生・花芽分化」(2/7-8)

2012年2月 8日 (水)

 今年度、今治南高での出前講義は6/229/28に続いて、3回目になります。四国・愛媛ということで東北・仙台から比べたら暖かいのだろうと思ってきたのですが、雨模様であったりしたこともあり、風も強く、雪が舞ったり、以外と寒くて。。。ただ、道ばたを歩いていれば、サクラソウ、パンジーなども咲いており、春はもう近いのだなということは実感できました。

IMG_2767.JPG 講義では、花粉発達、花粉管発芽、花粉管伸長、重複受精、胚発生、発達分化というような植物、作物の一生の部分を概説し、残りの時間は、畑での実習となりました。畑では綿花の栽培をしており、仙台の塩害土壌での栽培のことを思い出したりで。ハウスのトンネルでは夏作用の苗の準備をしているというのは、今日の気温を考えると、こんな前から畑作の準備がされているのだと、農業の重要性を改めて感じることができた時間でした。

 最後になりましたが、お世話になりました、別府先生をはじめとする関係の先生方にはこの場を借りて、お礼申し上げます。ありがとうございました。校長先生とは朝の忙しい時間に貴重な時間をとって頂き、deepな議論ができたのは何よりでした。ありがとうございました。

IMG_2761.JPG わたなべしるす

 PS. この高校で事務をされている方が、小学校の時に家庭科を教えて頂いた先生の親せきに当たる方だと聞いて、。。。世の中、本当に狭くできているのだと実感させられました。


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【出前講義】鹿児島県立錦江湾高等学校・SSH生徒課題研究発表大会・コメンテーター(2 /1)

2012年2月 1日 (水)

 2月最初のSSHへのcontributionは、鹿児島県立錦江湾高等学校・SSH生徒課題研究発表大会のコメンテーターでした。1/30に、岩手・盛岡三に伺ったときには、当日の最低気温は、-12oCだったような。鹿児島の昨日の最高は、13oCくらいであったような。。この温度差。。鹿児島空港に着いたとき、なんと暖かいのか。。。感覚の麻痺かもしれないですが。。

 錦江湾高校のコアSSH・ダイコンコンソーシアムの運営指導委員を引き受けていることもあり、今回の参加となりました。これまで長きに亘ってSSHをやられてきたこともあり、今年度の成果として、受賞歴があったり、発表もこれはすごいというものもありました。ぜひ、科学論文での発表にトライしてみてはいかがでしょうかというものもあったのは、大きな収穫でした。

DSCN2179.JPG 研究内容も、物理、化学、生物、地学、数学に加えて、運動生理学、食品加工のような家庭科に近いものまで多様性に富んでいたのは、興味深いものでした。食文化というものもあり、それらには、ぜひ、歴史など、文系の融合があれば、なお発展するのではと思いながら、聞いておりました。

 震災を意識した無線連絡があったのは、遠く離れたこのような地でも、意識の共有ができているのだなと。また、実験で出てくる廃棄物を廃棄物にしないという試みも大事な点だと思いました。さらに、運動生理学的な観点からのスポーツの解析もありましたが、さらに踏み込んで、そのスポーツを科学し、勝利につながればと。何より、この会議全体の進行が生徒の皆さんによって行われていたのは、他の高校では見られない点であり、これから先の自主性の育成にはよいのではと思った次第です。

 最後になりましたが、今回の発表会でお世話になった、校長先生、樋之口先生、讃岐先生をはじめとする、錦江湾高校の先生方にお礼申し上げます。また、来春以降にコアSSHでお会いできるのを楽しみにしております。

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 わたなべしるす


 PS. 今日から、プロスポーツのキャンプインとか。そういえば、仙台空港に大勢のがたいのよい人たちが、プロ選手だったのだと、テレビ、新聞で気がつきました。


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【出前講義】岩手県立盛岡第三高等学校・SSH運営指導委員会(1/30)

2012年1月30日 (月)

 今月、4つ目のSSH関連です。最初が宮城・仙台第三高校、2つ目は石川・小松高校、3つ目が埼玉・浦和第一女子高校。4つ目が岩手・盛岡第三高校。今朝から雪が降ったそうで、一面銀世界でした。最初の3校は、年度末の発表会でしたが、盛岡第三は運営指導委員会という、今後の方針などの会議でした。

DSCN2164.JPG まだ、盛岡第三高校のSSHは1年目ですが、理数に係わるような科目を展開しているだけでなく、国語、地歴・公民、家庭等幅広く、学校全体でSSHに取り組んでいるのが、興味深い点でした。ぜひ、先日伺った、小松高校、浦和第一女子高校のような授業内容と比較・検討したいと思った次第でした。

 次年度には海外研修も予定されているようで、行き先は、ハワイ島。キラウエア火山もあり、生物多様性もあるとか。興味深い場所です。ぜひ、科学的なことだけでなく、英語でのコミュニケーションなども習得できればと思いました。また、課題研究が始まるということは、普通科のみの高校では初めてのトライであり、大変なことだと思いますが、がんばっていろいろな実験、研究をしてもらえればと思います。また、同じ県内で、コアSSHの取組もあります。それらに参加することは、同学年の他の高校生との交流。とても大切なことだと思います。外の世界を知ることは。外国と同じくらい。さらなる発展を祈念しております。

 最後になりましたが、校長先生をはじめとする関係の先生方、岩手県教育委員会の方々に、この場を借りてお礼申し上げます。

DSCN2166.JPG わたなべしるす

 PS. テレビで「盆栽」が海外でもてはやされているとか。日本の古き伝統が諸外国で評価されているということではないかと。「盆栽」を科学するということも、SSHなどであってもよいのでは。。見ようによっては、科学的な解析もできるのではと思いました。「盆栽」以外にも、古き伝統のよいものがあるのではないでしょうか。それらの再発見と解析をすることが、日本を理解することではないでしょうか。「盆栽」に話を戻すとすれば、もちろん、その前に、植物を育てることも忘れずにということだと思いますが。。


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