HOME > 研究経過報告 > 【東北大】山元班

研究経過報告|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

「研究経過報告」内を検索

【東北大】山元班の記事を表示しています

最新の行動遺伝学の実験手法をプロトコル本にて発表しました

山元大輔、古波津創、小金澤雅之は、温度感受性チャンネルのdTrpA1を少数の神経細胞に発現させて温度制御によりショウジョウバエに行動を惹起させる手法と、トレッドミル上で行動するショウジョウバエの脳から神経活動を光学的に記録する手法を集約して、プロトコル本に発表しました。特に、後者の手法は山元研究室の古波津によって独自に開発されたもので、行動遺伝学をベースとした神経回路研究に革命を引き起こすものといえます。なお、この手法の初出となる原著論文は、Kohatsu S. et al. (2011) Neuron 69, 498-508です。


出典:Yamamoto, D., Kohatsu, S. and Koganezawa, M. (2013) Insect pheromone behavior: fruit fly. In: Pheromone Signaling, Ed. K. Tohara, p.261-272, Humana Press, Springer, New York. ISSN 1064-3745 ISSN 1940-6029 (electronic) ISBN 978-1-62703-618-4 ISBN 978-1-62703-619-1 (eBook) DOI 10.1007/978-1-62703-619-1


PheromoneSignaling-cover.jpg


図:プロトコル本の表紙

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

ショウジョウバエ雄の性行動とfruitless遺伝子の全てを解説しました

 山元グループが長い歳月を費やして明らかにしてきたショウジョウバエ性行動の分子・細胞レベルの機構を、fruitless遺伝子の働きに着目して総括した解説をNature Reviews Neuroscienceに発表しました。この総説の特徴は、研究の始まりから現在までを俯瞰するのみならず、現在一般に信じられているfruitless遺伝子機能を巡るいくつかの「俗見」を正している点です。必然的に論争的テーマを多々含んでおり、この分野以外の研究者にとっても興味深い内容となっています。また、掲載号の表紙は、この総説のテーマをfeatureした漫画です。


出典:Yamamoto, D. and Koganezawa, M. (2013) Genes and circuits of courtship behaviour in Drosophila males. Nature Reviews Neuroscience 14, 681-692. doi: 10.1038/nrn3567.

 


NatureReviewsNeuro.jpg
図:山元らの総説の掲載号は、この総説のテーマを題材に描かれている。

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

行動多様化と種分化の遺伝子機構に関する総説を発表しました

 山元班の山元と石川由希(現・名古屋大学)は、Journal of Neurogeneticsの特集、Evo-Devo-Neuro Approach to Behaviorhttp://informahealthcare.com/toc/neg/27/3)に総説を寄稿し、ショウジョウバエ属の行動の多様化に寄与している遺伝子の実体と進化へのインパクトを論じています。この総説の特徴は、行動表現型の種差をもたらすと思われるいくつかの遺伝子について、その脳神経系での具体的機能を検討し、個体(行動)−細胞(神経ネットワーク)−遺伝子変異の三階層にわたる因果的相互関係を推論している点です。その中から,どのような特性を持つ遺伝子が行動の多様化、そして種分化に大きな働きをするのか、仮説を提唱します。

 

出典:Yamamoto, D. and Ishikawa, Y. (2013) Genetic and neural bases for species-specific behavior in Drosophila species. Journal of Neurogenetics 27, 130-142.

 

heteroneura(large2).jpg


図:ハワイ固有種、Drosophila heteroneuraの雄同士が示す闘争行動.ハワイ諸島には1000種近いDrosophilaが生息し、行動の著しい多様化が見られる.

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

国際紙に、新たな学問領域、Evo-Devo-Neuroを提唱する特集を組みました

 山元は、自身がAssociate Editorを務めるJournal of Neurogenetics誌(Informa Healthcare, London, UK)にEvo-Devo-Neuro Approach to Behaviorと題する特集を組み、94日に同誌273号として刊行されました(http://informahealthcare.com/toc/neg/27/3)。

 生物の形態的多様性を発生に関わる遺伝子の変化に基づいて理解しようとするEvo-Devoは、今や多くの研究者を擁する分野として確立しています。しかし、行動の多様性がどのようにして進化したのか、また逆に行動の多様化が種分化を導き、多様性の成立に寄与することは可能なのか、こうした問題に迫ろうとする研究は未だ萌芽的な段階にとどまっています。本特集は、行動の多様化の基盤を脳の神経回路の多様化に求め、その遺伝的機構を解明するあらたな分野を提唱するものです。

Journal-of-Neurogenetics-Online-14.jpg

 

図:Journal of Neurogenetics誌の表紙

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

山元班の研究成果をもとに総説で新しい仮説を提唱しました

ショウジョウバエのニューロンの性を決定するFruitlessFru)タンパク質が、クロマチン構造制御を通じてその機能を発揮することは、原著論文、Ito, H. et al. (2012) Cell 149, 1327-1338に報告しています。その研究により、FruHDAC1を標的サイトに動員すると雄化が進み、HP1aを動員すると脱雄化へと向かうことがわかりましたが、この二つのどちらが動員されるのかを決める仕組みは不明です。これについて、蛹化の前後に二峰性のピークを示して上昇するステロイドホルモンのエクダイソンが、HDAC1HP1aとを継起して標的に動員するとする仮説を、雑誌Flyに発表しました。

 

出典:Ito, H., Sato, K. and Yamamoto, D. (2013) Sex-switching of the Drosophila brain by two antagonistic chromatin factors. Fly 7, 87-91.


エクダイソン仮説.jpg

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関

ページトップへ|新学術領域|ゲノム・遺伝子相関