東北大学大学院生命科学研究科 植物分子育種分野 渡辺研究室

研究室ダイアリー

規律正しい、制限、アナログ(4/21)

2014年4月21日 (月)

 今年の春の天候も安定しない。今日も昼頃から雨が降っている。昨日は10oCに満たない気温で結構寒かった。。。もちろん、そんな中でも片平キャンパスのサクラを見るというか、お花見をしている研究室とおぼしき人たちも。数日前には夜桜をしていたところ。元気なものだと。。。どこからともなくブルーシートが敷かれて、わーーーと集まり、ゴミを散乱させることもなく、片付けて帰る。これだけは、片平にきて10年になるが、そうだと思う。規律正しいというか、ちゃんとしているというか。そういえば、震災の時に、寒い中、並んで順番を待つ姿もそうだったと思う。そんなことを評してだろうか。日本人のイメージというのだったと思うが、「勤勉」、「まじめ」、「信頼できる」、「正直」、「規律正しい」というのをどこかのニュースか、netで流れていたのを思い出した。ちゃんとしているというイメージを持ってもらっているのは、これまでの先輩方、ご先祖様がそうであったからであろう。そうした方々に感謝し、それを継続していかないといけないと。。。

DSCN2045.JPG そうしたイメージの枠の中にあると、制限がかかっていると思って動きにくいかもしれないが、その枠の中で何とかするのも大事なことである。大学院生の頃、等電点電気泳動とSDS-PAGEを組み合わせて、二次元電気泳動をやっていた。大きな予算があれば、それを同じメーカーで組み合わせてやることもできたのかもしれないが、そんなこともままならず、手持ちのガラス板でゲルを作るときに、一工夫して、分子量マーカーを流すレーンと一次元目のIEFを流すレーンができるコームを作成した。いざできると、完璧ではないが、何とかそれなりに使える代物であった。それを使って、最初の論文ができたのを思い出す。無制限に何でもできるというのもよいこと。ただ、一方で、何かの制限はかかっていて、そん中で何とかすると言うのも大事なこと。昨日の記事に「東大が70連敗」とあった。高校生の頃だろうか、万年最下位がひょっとしたら優勝するというような年があった。あの頃と何がちがって何が同じなのだろうか。もちろん、東京六大学の他の大学よりは大きな制限がある。ただ、その制限を乗り越えて、これまでのチームはやってきたのだから。何とかなってほしい。弱いと言われるチームが勝つのは、見ている方も応援したくなるものである。昔ながらの「判官びいき」というのに由来するからであろうか。。。。

 最近はほとんどのものがデジタル。身の回りを見ても、文章を書くのは、パソコンで、ブラインドタッチをした方が速い。Power pointでプレゼンをするのも手で描いた絵を貼り付けることはまずない。そこもデジタルで。。。論文も冊子でなくて、pdfで読む。アナログを探すと、。。新聞、雑誌くらいであろうか。出張にでも出かけないと、こうしたものを見ることもない。。。あまりよくない生活と思う。そんなアナログ。この前、出張先でテレビをつけたら、ゴジラの生みの親「円谷英二」監督のことをやっていた。ゴジラの映画を作り、ウルトラマンをテレビに送り出した方。というイメージしかなかったが、戦前から映画を作っていたというのを聞いてびっくりした。もちろん、物資、情報が十分でなく、かなりの制限を受けていた中で、作った映画もたくさんあり、その特撮のqualityがとても高く、特撮でなくて、実際に撮影したのではないかと、言われたとか。なんでも、何かの高さを基に、建造物などの高さなどを推測し、ミニチュアを作ったと。今なら、netで世界の現在ではないにしても地図がある時代からは考えられない。そんな制限というピンチをチャンスに変えるのだから、やっぱりすごい。だからこそ、一時代を築き上げることができたのだろう。その中での言葉で印象的だったのが、「デジタルだと、意外性を出すことは難しいと。。」。建物を壊すとき、アナログであれば、壊れた破片はその度ごとにちがうであろう。もちろん、概ね同じなのだが。。。その意味では、実験もアナログ。その度ごとに少しずつちがうので、平均とか、分散とかをとって、どうすればよいか考える。生き物だから、こうしたことがあるのかもしれないが。まだまだ、アナログな部分はたくさんあるのだと改めて。。。

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 わたなべしるす

 PS. この前の北陸遠征の間に、野依科学奨励賞の授賞式の時に、久しぶりにお目にかかった当時中学生、この春から高校生になったかたから、当日の写真などが入ったdataと手紙を頂いた。とてもしっかりした文章で。。。ありがとうございました。また、どこかで。。。もちろん、出前講義もrequestして下さい。

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【研究室訪問】宮城県仙台第一高等学校・生物部、来訪(4/18)

2014年4月18日 (金)

 朝から慌ただしく、昼にはお花見午後からは年度初めの顔合わせを兼ねて、最初の「ケーキ会」。夕方には、先日、今年度のSSHなどを含めた高大連携の話しで伺った宮城県仙台第一高等学校・生物部の生徒さんと指導をされている小松原先生が研究室に。

 去年から実験をされている「アブラナ」の調査に関して、アブラナの種の判別。見かけでは、なかなか難しいところがあり、基本ゲノムとなる、B. rapa, B. oleracea, B. nigraであれば、わかりやすいのですが、なたね油として使われているのは、B. rapaとB. oleraceaのゲノムが合わさったB. napus。両親の形質を上手に持っているわけですが、形態的にはB. rapaに似ていて、waxの程度、葉の厚さなどがB. oleraceaという感じですが、書くのはかけても、それを実物で判断するのは。。。。かなり難しいわけです。こんな感じということを話をしたり。。。

DSCN2174.JPG で、実際には、ガラス室で栽培しているB. rapa, B. oleraceaとB. rapaとB. nigraが合わさったB. junceaというのがあるので、それを見たり、せっかくなので食して何がどう違うのかを実際に体験してもらい。。。B. napusを植えていればよいのですが、それがないので。。。もちろん、調査と同じものがあるわけではないので。。。また、週末には調査をされるとか。。。少しは参考になったのではと思います。高校のある場所と片平キャンパスは自転車で5-10minくらい。また、いらし頂ければと思います。

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 わたなべしるす

 PS. 今日から6/18までの2ヶ月間にわたってのアウトリーチ活動が、国際植物の日関連。その初日にこうした活動ができたのは何よりでした。ありがとうございました。

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【出前講義】石川県立小松高等学校生物部・実験研究指導「レインボーフラワーの仕組みの解析」、その2(4/17)

2014年4月17日 (木)

 午前中は、小学校への出前講義でしたが、午後からは小松高校に戻り。。。といっても、普通の日ですから、授業が普通にあって。。。そんな高校に戻ると、ちゃんと、Welcome boardがお迎え。新しいversionになっているのは、うれしい限りです。ありがとうございました。

DSCN2157.JPG 放課後の少しの時間でしたが、実験について。初日の続きと言うことで。。。レインボーフラワーを作るために使う色素の問題。こうした実験専用の色素ですが、市販品ですので、使う上でのというか、実験上の制限はいくつか生じます。例えば、その組成というか、物性というか。。。もちろん、今の科学力があれば、解析できない代物ではないわけですが、高校生らしい研究かというと。。。

DSCN2165.JPG また、研究をどう展開していくのか。大学の研究室であれば、こんなことをしたら、こんなことが出てくるのではと言うことをある程度の年齢になれば、想定でき。。。その上で、こんな論文になるようなことも。。。ただ、それを高校生に求めるのは難しいことかもしれないですが、ただ、研究をどの様な方向性にいくのか、いこうとしているのか、その先にどの様なものがあるのか、それらをまとめるとどうなるのかなど、少し実験の手をおいても考えてほしいと。。。手を動かしてdataを出すことが楽しい世代だと思いますが、そこで一歩とどまって考える。辛口のコメントだったかもしれないですが、それだけのことができると思ったからこそ。。。5月にも伺う予定。しっかりとした方向性を見せてくれるものと楽しみにしておりますので。もちろん、新しく入った1年生も何をやるかなど、少しずつ決めてみて下さい。

DSCN2169.JPG ということで、3日間の北陸遠征も無事終了。3日間、様々な活動で寺岸先生をはじめとする、SSH室の先生方にはお世話になりました。ありがとうございました。今年度もよろしくお願いいたします。できるだけのサポートをしたいと思いますので。


 わたなべしるす

 PS. 帰りの玄関のところまで、校長先生とSSH室長の松原先生が。。。忙しい中、ありがとうございました。それから、生物部の生徒さんたちが、ありがとうございました。という最後のboardが。。。最後まで先輩の十八番をしっかりと伝承して。。。感動、ありがとうございました。

DSCN2170.JPG PS.のPS. 午前中のところでも少し書きましたが、近くまでいくと、水田では代かきが始まりそうなくらいに。。。ちょうど、2週間後のゴールデンウィーク当たりで、一斉に田植えが始まるのでしょうか。なんと言っても穀倉地帯ですから。。。。次に伺うのがまた、楽しみに。。。

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【出前講義】小松市立中海小学校・出前講義「キャベツとブロッコリー--何が同じで何が違うの???--」と交配実験(4/17)

2014年4月17日 (木)

 あっという間に今年度最初の出前講義・北陸遠征も最終日。昨日は、朝から夕方まで小松高校でしたが、最終日の午前中はこのところ、年に数回出前講義を行うようになった小松市立中海小学校。昨日まで伺っていた同じ小松市内の石川県立小松高等学校からは少しやまよりの所に。町中よりも、少しソメイヨシノの花持ちがよいような。。。そういえば、うちの研究室も明日がお花見を計画していたかと。。。桜前線で、日本海側、太平洋側の違いはあるものの、1-2日の違いくらいしかないのではと。。。小松市内と仙台市内で。。。ここの小学校も毎回、きれいなWelcome boardを作ってくれます。感動です。ありがとうございました。

DSCN2114.JPG さて、講義ですが、今年度最初の小学校での講義は「キャベツとブロッコリー--何が同じで何が違うの???--」。何年やっても、初めての講義の時は緊張します。今回もちゃんとできるかなと。。。最初は自己紹介。今年の5年生は緊張気味なのもあるかもしれないですが、物静かですが。。ブロッコリーの花が畑で咲いているのを見たことあるというのは、さすがです。自然を観察する力が身についています。こうした意味では自然が豊かなところで生活することは大事だと。。。ただ、キャベツの花が咲いているのは、キャベツからどの様に花が咲いてくるのかを見たことがある方はいなくて。。。それでも、実物のキャベツ、ブロッコリーを用意してもらい、それを切ってなかを観察して。。。春キャベツで初夏に近い時期。キャベツの中には、抽苔をしないで、何とかがんばっているつぼみを見つけることができて、つぼみは茎にくっついていることを説明できて。。。では、ブロッコリーとキャベツの遺伝子を持った植物はと言うことで、5つのグループに分かれて。。。実物をくっつけて考えたり、相談したり。。。

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DSCN2126.JPG 5つくらいのグループが説明をしたり、聞いたりする上では、やりやすい数で、実際のキャベツとブロッコリーを持って、各班ごとにその絵がどの様な意図を持って書いたのかを。。。ちゃんと、茎と茎が合わさることを理解していたのは、さすがに毎日の自然観察がされていて、学校での理科教育の賜物だと。。。で、中海小学校恒例の世界に向けて情報発信。と言う集合写真。とてもよい笑顔です。

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DSCN2140.JPG で、いつもであれば、ここで終わりなのですが、今回は、special vesion。9:00-12:00まで時間を頂きました。ので、実際にこの「キャベツとブロッコリー」の両方の遺伝子を持ったものを交配をして作ってみようと言うことで。天気もよく。外での実習となりました。ただ、ブロッコリーはたくさんの花がある関係もあると思いますが、少し雄性不稔気味。。。なので、ブロッコリーを母系として、花粉親にキャベツを使うという一方向的な交雑実験しかできなかったのは残念でしたが。。。それでも、2名で、1つの花序に2-7個の雌しべだけに除雄して、花粉をかけてと言うことを。1hrほどで、22名全員完了。とても起用でしたし、何より驚いたのが、練習用に寺岸先生が用意してくれていた、ダイコンでしっかり練習をして交配に望んだり、終わったあとにも、交配使わなかった枝に残っていたブロッコリーのつぼみを使って、雌しべだけにするという練習をしていたのは、感動でした。とてもすばらしい5年生でした。夏前には、雑種の種を収穫でき、そのあと、秋には播種して、来春にはどの様な植物になるか、実際にわかると思います。こちらも楽しみです。

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DSCN2150.JPG 講義のあとには、今年度から赴任された山本校長先生を交えて、昨今の教育事情であったり、こうした自然の中で学ぶべきこと、縦の繋がりと言うことなど、大学院での教育でも重要と思われることを議論できたのは何よりでした。ありがとうございました。最後になりましたが、今回の出前講義の企画の時からサポート頂いた石川県立小松高等学校・寺岸先生、小松市立中海小学校・山本校長先生、三星先生、北岡先生をはじめとする関係の先生方にこの場を借りてお礼申し上げます。ありがとうございました。今年度もよろしくお願いします。


 わたなべしるす

 PS. 教室から外を見ると、ソメイヨシノが散り始め、川沿いにはハマダイコンとおぼしきものも見えて、さらに、麦畑と思うのですが、緑の畑も。。。その奥では、連休中の田植えに向けて、代かきも始まり、ちょうど春の農繁期になりつつあるのだというのがよくわかるそんな風景を久しぶりに見ることができました。

DSCN2115.JPG PS.のPS. 今週は「科学技術週間」だったとか。そういえば、昨年はこの期間中に「平成25年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」がありました。科学技術週間での出前講義の登録は、うまく調整ができず、小松高校だけでしたが、今週分が入ることを考えると、今日の中海小学校での出前講義も入れれば、150名近い、参加者でした。来年度はもう少し貢献できるようにしたいと思います。

 PS.のPS.のPS. 交配実験のあとに、理科支援員の方と少しお話しをする機会があり。。。是非、別の小学校でも、こうした出前講義を行ってほしいと。ありがたいお話しです。こうした裏方を支えてくれる方がいるからこそ、より大きな広がりとなりますので、。。こちらこそよろしくお願いします。


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【出前講義】石川県立小松高等学校課題探求・開講式と初回課題探求活動へのコメンテーター(4/16)

2014年4月16日 (水)

 午前中の理数科1年生の講義に続いて、午後からは、理数科2年の課題探求の開講式と初回の活動。最初に、今年度から赴任された太田校長先生からご挨拶。1年生で学んだことを基礎として「科学的探求力の育成」に励んでほしいと。また、冬には英語での発表もあるので、そうしたことにも積極的にtryしてほしいと。そのあと、担当教員と生徒さんの対面式。実際の研究面を担当される先生方に加えて、英語の指導をされる先生方も各課題ごとに設定されているというのが、小松高校ならではではないかと。。。

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DSCN2105.JPG 開講式に続いて、それぞれのグループごとに、初回の活動。実際には、昨年度から数回実施していて、テーマについての再考をするグループがほとんど。高校の課題研究では「仮定」を立ててと言うことをよく言いますが、大学での研究であれば、こんな実験をやれば、たぶん、こんなことが起きるであろうから、それを見てみようという所だと思います。これもある種の仮定の下に、その遺伝子がどうなっているかと言うことを探索すると言うことと同じですので。

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DSCN2108.JPG生物班、物理班、化学班、数学班。それぞれ、どのグループもそれなりの課題を抱えていて。。。共同研究のはずなのに、三すくみになっていたり。。。調べる 材料は決まっても、何を調べたいのか、それは何ためなのかを決めることができないチームも。もちろん、高校生のレベルで調べることができるものはある程 度、決まってくる訳ですが。。。。半年くらいたったところで、また、活動を見ることもあると思いますが、大きな発展があることを楽しみにしております。

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 わたなべしるす

 PS. 他の高校でもそうですが、同じ高校で、兄弟姉妹にお目にかかることは何度かありましたが、ここでも。。。高校だと、小さな町の単位でしょうから、そうなるのは、今治にいても、そうですので。。。そんな不思議にも出会うことができたことに感謝です。

 PS.のPS. 課題研究のあとが、部活の顔合わせの回でした。1年生も5人くらい、新しく入ってくれて、activeになりそうでした。小松高校にあやかって、うちの研究室も来年のM1になってくれる今年の受験生をオープンラボで広報したいと。。。。

DSCN2110.JPG PS.のPS.のPS. 夕方の新聞にキャンパスのある、片平のとなりのブロックの米ヶ袋に「カモシカ」が出たと。。。。3hrで捕獲されたらしいですが。。。びっくりします。。。



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